茶道を嗜んでいると、ふと「茶道具の歴史」について気になったりしませんか…?
今回の日晃堂コラムでは、そんな茶道具の歴史についてご紹介します。かっての戦国大名や戦国武将をはじめ、「わび茶」の完成者としても知られる千利休と、関連する茶道具の歴史に関してお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
茶道具の歴史をご紹介します
茶道具の歴史は茶道の歴史と同じくスタートしたと云われ、お茶を点てるもの、床の間を飾るもの、懐石の際に使うもの、待合や露地で使うもの、お勝手で使うものなど、様々な茶道具が中国から伝えられ、今でも多くの茶道具が継承されていますね。
伝統ある茶道具の中には国宝や重要文化財指定され、骨董品として非常に価値が高いものもあります。
ここからは、そんな茶道具の主な歴史についてご紹介します。
茶道と共に茶道具の歴史は始まった
茶道と共に始まった茶道具の歴史ですが、茶道は中国から伝わったため、初期の茶道具は中国製(唐物)が多く使用されてきました。茶道が日本の伝統文化として発展すると共に、日本国産の茶道具が作られるようになり、現在までに多くの和物が継承されています。
そんな茶道具の歴史は日本の平安時代末期に始まり、臨済宗の開祖である「栄西」が、臨済禅と一緒に抹茶法を伝えたことが始まりだったと云われています。当初は限られた貴族だけが楽しむものでしたが、やがて嗜好品として一般にも広まり、遊興やコミュニケーションの手段として広く用いられるようになりました。
織田信長の時代には大名や武将たちの間で茶道具が大流行
織田信長が名を馳せた戦国時代には、戦国大名や戦国武将たちの間で茶道具が大流行。
当時、戦に勝った大名や武将に恩賞として与えられる領地や黄金などが物資不足となり、織田信長が代わりに目を付けたのが茶道具でした。信長は恩賞として茶道具を与えるようになり、やがてそれは信長に認められた証として、武将たちにとって価値の高いものとなります。
また、織田信長を中心に高名な茶道具が大名の元に集められるようになり、名物の茶道具をいかに集められるかが大名や武将たちのステータスでもありました。当時、最も有名な茶道具は「天下の三肩衝」と呼ばれる、「楢柴」「初花」「新田」3つの茶入で、このような名物の茶道具を手にすることが「権力の象徴」とされていた時代でもあります。
そのため、大きな権力を持った武将の中には名物の茶道具を持っている人を殺めてまで、権力の象徴を手に入れようとした者もいます。それほど、茶道具は武士たちにとって貴重な存在でした。
千利休の登場で茶道具にも大きな変革が訪れる
安土桃山時代には茶聖「千利休」が登場し、茶道具の歴史としては最も大きな転換期を迎えます。 登場と言っても、信長に仕えていた時代から既に茶人として有名でしたが、当時の千利休の立場は天下一ではありませんでした。天下人として君臨していた信長が「本能寺の変」にて、数々の名物茶道具と一緒に本能寺で斃れてしまった後に、豊臣秀吉が天下統一を果たしますが、それと同時に千利休も天下一の筆頭茶頭(茶の師匠)となります。
筆頭茶頭となった千利休は創意工夫しながら、茶道の様式のひとつとして非常に有名な「侘び茶」を大成します。そして、千利休によって茶道具にも大きな変革が訪れることになります。冒頭でもお伝えしたように茶道は中国から伝わったため、初期の茶道具は「唐物」が絶対的な価値を有していました。そんな唐物の茶道具を凌ぐ「和物」茶道具を千利休自らが創意を凝らして作り出し、市場に流通すると大きな価値が付くようになります。
やがてそれは、千利休手製の茶杓にまで及ぶようになりますが、茶道具の歴史としてはこの頃がピークとなります。これまでに数々の名工によって多種多様な茶道具が作り出され、定評も得ていますが千利休に及ぶものは登場していません。それほど、この時代に起きた茶道具の変革は大きな出来事でした。
まとめ
茶道において欠かすことのできない「茶道具の歴史」について、ご紹介させていただきました。
今回の記事を最後まで読んでいただいた方は、茶道具の主な歴史が理解できたのではないでしょうか。
中国から伝わった当初は中国製(唐物)の茶道具が広く使用されてきたこと。織田信長の時代には「権力の象徴」として戦国大名や戦国武将たちの間で茶道具が大流行したことや、「天下の三肩衝」と言われる名物の茶道具が特に大人気だったこと。千利休が筆頭の茶頭になってからは茶道具にも大きな変革が訪れ、和物の茶道具が広く普及されるようになったこと等をお伝えしました。茶道や茶道具の歴史を語るうえで、やはり千利休は欠かすことのできない重要な人物であったと言えますね。
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