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蒔絵作品の場合、明治期の「超絶技巧」が高く評価されていることからも分かるように、基本的には、豪華で装飾技術の凝った作品である場合に、金額的にも高い評価となります。

また作品の外観の目につきやすいところ以外でも、棗や文箱等の内側に「梨地」という蒔絵装飾の技法が使われている場合には高い査定評価となります。

そのため、仮に同じ制作時期や同じ作家であっても、作品自体の装飾の出来映えによっては大きく査定評価が変わってしまうこともあります。

蒔絵工芸をはじめとした漆芸作品全般に言えますが、漆器は保管時の湿度によっては乾燥により表面や下地が劣化し、蒔絵の剥落にもつながります。また直射日光などによる紫外線も表面を劣化させる原因となります。蒔絵の剥落などの劣化は金額的な評価に大きく関わります。付属の箱があれば、その箱も含めての評価となります。その箱にどのような箱書があるか、どういった箱なのかを検討し、最終的な評価が決まります。

また特に漆芸において箱が重要なのは、それが直射日光から保護するという点でも重要な機能を持ち、箱が付属しているかどうかは重要なポイントのひとつとなります。その他、たとえば印籠の場合は、本体だけでなく、根付や緒締の素材や装飾によっても作品全体の評価が変わるように、作品自体を取り囲む様々なものも査定ポイントとなります。

さらに図録掲載品、著名オークション出品作品、著名人所蔵品など、重要な来歴情報がある場合には、作品だけでなくその情報も加味した評価となります。このようなポイントから総合的に評価を決めることになります。