明治30年前後から昭和時代に描かれた木版画は「新版画」として人気を博しました。
新版画は浮世絵の近代化や復興を目的としていて、その技法を確立した版画家の1人が川瀬巴水です。
この記事では、新版画家として活躍した川瀬巴水について詳しく解説します。
川瀬巴水が手掛けた作品の特徴や、版画買取で価値がつく理由などもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
版画家として有名な川瀬巴水とは?
川瀬巴水「金剛村」
川瀬巴水とは、大正から昭和にかけて活躍した新版画家です。
10代の頃から画家になるために勉強を続けましたが、家業を継ぐために一度画家への道を断念します。
しかし、諦められなかった川瀬巴水は家業を妹夫婦に譲り、もう一度画家になることを目指します。
「美人画の名手」である鏑木清方の門人となり、1910年に「巴水」の画号で日本画家として活動を始めます。
元々は美人画に尽力していましたが、行き詰まりを感じ版画家として「新版画」の確立に尽力します。
その後、美しい風景版画を数々を生み出し、日本のみならず海外からも「昭和の広重」と評価されるほどの地位を確立しました。
川瀬巴水の作品の特徴
川瀬巴水の作品の特徴として、まずは「鮮やかな色合い」が挙げられるでしょう。
1つの作品で平均30色以上の色数を使用し、鮮やかで深みのある色彩に仕上げています。
版画家として有名な葛飾北斎の「赤富士」で7色、歌川広重の作品で最も多い色数で33色と言われているため、色で表現する強いこだわりを感じると共に、作品の特徴として挙げられます。
また、日本中を旅しながら各地の風景を描いたことも特徴の1つです。
雪や雨などの天気、明け方や夕暮れ、月など環境要因を組み合わせて表現する風景は、見る人を魅了します。
そして、サンタクロースなど今までの浮世絵になかった題材が描かれていることも川瀬巴水の特徴です。
川瀬巴水の作品が版画買取で価値がつく理由
川瀬巴水の作品は版画買取で評価され、価値がつきやすいでしょう。その理由としては、日本での流通が少ないことが挙げられます。
戦争や関東大震災により、多くの作品が失われてしまいました。
また、川瀬巴水の作品は外国人からも高く評価されていて、多くの作品が海外に渡っています。
特に、アメリカには川瀬巴水のコレクターが多く、その1人がApple社の創業者であるスティーブ・ジョブズです。
近年は、日本でも川瀬巴水の作品が注目されていますが、作品数が少ないため、自ずと版画買取市場で価値がつくようになっています。
もちろん、新版画を確立したことや、鮮やかな色合いで仕上げていることも版画買取で価値がつく理由の1つです。
川瀬巴水の版画買取相場
川瀬巴水「法隆寺」
川瀬巴水の版画買取相場は、数十万円〜数百万円です。
川瀬巴水の代表作である「旅みやげ第一週」「東京十二題」「日本風景集東日本編」などのシリーズものや、「日光街道」「平泉中尊寺金色堂」「塩原おかね路」などの単作は数百万円以上の価格で買い取られることも少なくありません。
また、状態の良い作品や流通枚数の少ない作品、大正時代の古い作品は数百万円という買取価格になりやすいです。
そして、版画買取の相場は「初摺りなのか、後摺りなのか」ということで大きく変わります。
基本的に初摺りだと買取相場が高くなるので、売却を検討している方は事前に調べておくことをおすすめします。
おわりに
川瀬巴水は大正から昭和にかけて活躍した新版画家です。
当時、衰退していた浮世絵版画の復興のために「新版画」を確立した1人でもあり、日本のみならず世界中で高く評価されています。
川瀬巴水の作品の特徴は、鮮やかな色合いと旅行しながら日本各地の風景を描いたことです。
そして、川瀬巴水の作品は日本での流通が少なく、希少価値があることから版画買取でも高値がつきます。
ここ数年で川瀬巴水の作品は日本でも高く注目されているため、売却を考えている方は一度査定を受けてみることをおすすめします。
私たち日晃堂では、版画買取や川瀬巴水の作品を専門の査定士が丁寧に評価し、適正な価格で買取を行っています。
※記事内に掲載している買取価格は参考価格となり、買取価格を保証するものではございません。同様の作品であっても査定時の相場や作品状態などによって買取価格は変動いたします。