美濃焼の名窯「幸兵衛窯」の6代目であり、重要無形文化財「三彩」の保持者として人間国宝に認定された陶芸家、「加藤卓男」の略歴や作品について解説します。
「加藤卓男が手がけた作品の価値を知りたい」
「加藤卓男はどうして人間国宝に認定された?」
など、作品の買取価格や人間国宝に認定された所以などについても触れているため、どうぞ最後までお読みください。
陶芸家「加藤卓男」とは?
加藤卓男は窯元「幸兵衛窯」の6代目です。
まずは幸兵衛窯の略歴や加藤卓男の略歴・功績を解説いたします。加藤卓男が陶芸界で高く評価されている理由を把握しましょう。
幸兵衛窯の歴史
幸兵衛窯は美濃国市之倉郷にある美濃焼の窯元で、1804年に初代の加藤幸兵衛によって開窯されました。染付食器を制作して江戸城に納める御用窯となり、200年以上続く幸兵衛窯の礎を築きます。
幸兵衛窯の歴代当主は常に新しい美しさと技術を追求し、各代それぞれ特色ある陶芸品を残しました。その技術と姿勢は幸兵衛窯に蓄積され、当主の創造力を駆り立てる源です。
現在でも美濃焼をけん引し、陶芸界に新たな風を吹き込む窯として知られています。
加藤卓男の略歴
1917年:岐阜県多治見市に生まれる
1938年:陸軍入隊
1945年:原爆投下の影響で白血病を患い、10年間の闘病生活を送る
1954年:日展に「黒地緑彩草花文花瓶」を出品し初入選
1961年:フィンランドに留学
1963年:第6回日展で「特選北斗賞」受賞。政府買い上げ
1973年:イラン・パーレヴィ王立大学付属アジア研究所留学
1980年:宮内庁より正倉院三彩の復元依頼
1983年:岐阜県「重要無形文化財」に認定
1988年:「紫綬褒章」受章
1995年:国指定重要無形文化財「三彩」の保持者として人間国宝に認定
1996年:岐阜県名誉県民の称号を受ける
2005年:死去
加藤卓男は岐阜県多治見市に生まれました。父である5代「加藤幸兵衛」に師事し、陶芸家の道を歩んでいましたが、若い頃は第二次世界大戦下で陶芸から離れた生活を余儀なくされています。
原爆の影響で白血病を患い、10年間闘病生活を送るなど、過酷な日々が続きました。
陶芸家として活躍しはじめるのは、1954年の日展で初入選を果たしてからです。フィンランド政府の召致によって意匠と技術の交換留学でフィンランドに赴くなど、世界で活動しました。
「紫綬褒章」の受賞や人間国宝に認定されるなど、晩年は陶芸家として確固たる地位を築き、多くの名作を残しています。
加藤卓男の功績
・ラスター彩の復元
・正倉院三彩の復元
加藤卓男は、ペルシア陶器や正倉院三彩の技法を復元・再興したことで知られています。1961年にフィンランドへ留学した際に古代ペルシア陶器と出会い、強く惹かれたためペルシャ陶芸の研究に没頭しました。
そして加藤卓男の代名詞ともいえる「ラスター彩」の復元に成功したといわれています。ラスター彩は、焼成した焼き物に金属の酸化物で装飾を施し、金彩のように輝かせる技法です。9世紀ごろから中近東地域で盛んでしたが、18世紀ごろに消滅したといわれています。
加藤卓男はラスター彩を約20年かけて復元し、作品に落とし込みました。
また、1980年に宮内庁の依頼により、国内最古の焼き物である正倉院三彩の復元も手がけています。十数年の歳月をかけて復元した「三彩」は高く評価され、人間国宝に認定されました。
加藤卓男が手がけた作品の買取相場
加藤卓男の作品は、皿や香炉、鉢、花入れなどさまざまな作品を残しており、それぞれが一点ものです。作品の種類や作成時期などによって価値が異なるため、買取相場を一概に提示できるものではありません。
買取市場では、数万円から数十万円で買取されることが多く見られます。サイズが大きいものや需要の高いものは、さらに高額で取引される可能性もあるでしょう。
加藤卓男の作品で高額買取が期待できるもの
・皿や鉢
・ラスター彩や三彩
・美濃焼
加藤卓男の作品では、上記が高額買取される傾向にあります。
皿や鉢
皿や鉢は観賞用として用いるなど用途が多様であり、収集家にも人気が高い作品であるため、高額査定されやすいでしょう。とくに大皿や大鉢といった大きいサイズの作品は、高く評価されます。
ラスター彩や三彩
加藤卓男を代表する技法の「ラスター彩」と「三彩」が用いられている作品は、高い確率で高額買取されるでしょう。どちらも歴史的・芸術的価値が高く、世界から注目されています。
美濃焼
ラスター彩や三彩といった華やかな技法が評価されている加藤卓男ですが、素朴さが魅力である美濃焼でも高い技術を持っています。
「美濃焼の父」として知られている5代目「加藤幸兵衛」譲りの実力は骨董ファンに評判で、骨董市場で高値がつくといわれています。
加藤卓男の代表作
・ラスター彩胡姫文茶碗
・志野茶碗
・青釉透彫胡姫文鶏冠壷
数々の代表作を残した加藤卓男の作品から、とくに人気がある3作品について解説いたします。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ラスター彩胡姫文茶碗
ラスター彩胡姫文茶碗は、第6回日展にて特選北斗賞を受賞し、政府買い上げとなった作品です。ラスター彩のなかでも最上位の作品で、加藤卓男がとくに得意としていた胡姫文が施されています。
胡姫とはシルクロードを往来した古代ペルシャの踊り子を指し、異国の情緒漂う女性の絵が特徴です。
志野茶碗
志野茶碗は美濃焼の伝統的工芸品と知られている茶碗です。加藤卓男が手がけた志野茶碗は、加藤卓男の父である5代目加藤幸兵衛から受け継いだ美濃焼の代表作として知られています。
優しい色合いで落ち着きある雰囲気が魅力の作品は、ラスター彩や三彩とは違った飾り気のない仕上がりが評価されています。
青釉透彫胡姫文鶏冠壷
青釉透彫胡姫文鶏冠壷は、加藤卓男が最晩年に制作した作品です。青釉は、加藤卓男が研究して習得した古来からある技法で、青の発色が美しく演出されます。鶏冠壷は格式高い作品とされており、持ち手部分は鶏の頭がモチーフです。
胴部には表的図案である胡姫文が施され、優れた作品として高い需要があります。
おわりに
加藤卓男は美濃焼の窯元「幸兵衛窯」の6代目で、重要無形文化財「三彩」の保持者として人間国宝に認定された陶芸家です。ペルシア陶器のラスター彩や、正倉院三彩の技法を復元・再興したとして国内外から高く評価されました。
加藤卓男が手がけた作品の買取相場は、作品の種類や技法、サイズなどによって異なり、多くは数万円から数十万円で取引されます。コレクター需要が高い皿や鉢、歴史的・文化的価値が高いラスター彩や三彩、5代目直伝の美濃焼は、高額買取が期待できるでしょう。
代表作には「ラスター彩胡姫文茶碗」や「志野茶碗」などがあり、さまざまな秀逸作品が現在も人気です。
日晃堂は加藤卓男の作品をはじめ、多くの陶芸品を買取してきた実績があります。作家の略歴や功績に詳しく、適正価格の提示が可能です。
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※記事内に掲載している買取価格は参考価格となり、買取価格を保証するものではございません。同様の作品であっても査定時の相場や作品状態などによって買取価格は変動いたします。