骨董品に馴染みのある方なら、陶磁器を収集して楽しんでらっしゃる方も多いと思います。
陶磁器は大きく分けると陶器と磁器に分けることができますが、もし、「陶器と磁器の違いとは?」と聞かれた場合、両者の違いをはっきりと說明できますか?そもそも、「陶磁器ってなに?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の日晃堂コラムでは、そんな陶磁器の気になる疑問についてお答えします。知っておいて損はしない「陶磁器の豆知識」ですので、ぜひ最後までご覧ください。
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【陶器】と【磁器】の違いについて
日常生活においてあまり意識することはないと思いますが、「陶器」と「磁器」にはそれぞれ違いがあります。陶器と磁器の一番大きな違いは「原料の違い」です。
陶器を「土物」、磁器を「石物」と呼ぶ場合があるほど、両者の原料は明確に異なります。だからこそ、製法も異なり、それぞれ違う特徴を持った陶磁器が生まれます。
ここからは陶器と磁器、お互いがどんな特徴を持っているのかを下記より詳しくお伝えいたします。
陶器の原料は主に「土」
陶器は「土物」と呼ばれているように、陶土と呼ばれる粘土が主な原料です。「粘土」だけではひび割れが起きやすいため、ガラス成分の「珪石(けいせき)」とガラスを熔かす成分の「長石」を混ぜることで耐久性を持たせています。
耐火性のある「粘土」に「珪石」と「長石」を配合し、1000℃を軽く超える高温で焼かれますが、その際の成分比率がおよそ「長石10%・珪石40%・粘土50%」と土の成分が最も多いのが陶器です。粘土を主原料とする陶器を手でコンコンと叩いた時に出る音は鈍く低い音で、手触りは柔らかく素朴な味わいをしています。光が透き通らないため透明度はなく、陶器の多くが淡い色です。磁器より密度が低いため強度が弱く、熱伝導率が低いため「熱しにくく冷めにくい」のも陶器の特徴です。
陶器の代表的な焼物としては、益子焼、備前焼、瀬戸焼、唐津焼、美濃焼、常滑焼、信楽焼、萩焼などがあります。
磁器の原料は主に「石」
磁器は「石物」と言われているように、陶石(磁石)を粉砕した石粉が主な原料です。ほとんどの磁器は吸水性が0%で耐久性に優れており、見た目もシンプルなものが多いですね。
成分比率はおよそ「長石30%・珪石40%・粘土30%」と石の成分が最も多く、一般的に陶器よりも高温で焼くため生地が固く強度があり、薄く作ることができます。石の粉を主な原料とする磁器は、焼成(原料を加熱)すると半ガラス質となり、手で軽く叩くとまるで金属のような澄んだ高い音がします。磁器の手触りは硬質で、陶器に比べると軽くて丈夫です。光が透き通る性質のため透明度があり、色合いは純白色なものが多いですね。磁器は熱伝導率が高いため、「熱しやすく冷めやすい」のも特徴です。
磁器の代表的な焼き物としては、有田焼(伊万里焼)、九谷焼、砥部焼、波佐見焼などがあります。
一番の違いは「原料」
「陶器と磁器の違い」に関しては色々とありますが、一番の違いは「原料」です。わかりやすく言うと、「土」と「石」の違いがあります。
陶器は土で出来ているので光を通しませんが、土ならではの自然の素朴な風合いや、職人さんによる手作業の温かみ等を感じることができます。磁器は反対に透明感があり光を通すため、繊細で滑らかな独自の美しさと、日常生活に溶け込みやすい実用性の高さがあります。
身近な食器でイメージしやすい例えを出すと、陶器は和食器、磁器は洋食器に多いですね。
【陶磁器】とは
「陶器と磁器の違いはわかったけど、そもそも陶磁器ってなに?」と疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、陶磁器についてもご紹介させていただきます。
陶磁器とは、”陶器と磁器の総称”のことです。厳密にいえば、他に「土器」や「炻器」と呼ばれるやきものも含めての総称を”陶磁器”といいます。土器は土を練り固めた後に焼き固められる、「素焼きのやきもの」のことで、歴史的には陶磁器の前身にあたります。炻器(せっき)は半磁器や焼締めとも呼ばれる、陶器と磁器の中間的な性質を持つ焼き物で、日用品から装飾品まで幅広く作られているのが特徴です。
広義には陶器と磁器に加え、土器と炻器も含めて”陶磁器”と呼んでいますね。
まとめ
今回の日晃堂コラムは、「陶器と磁器の違いとは?」というテーマでご紹介しました。
陶器と磁器の一番大きな違いは、「原料の違い」です。
陶器は「土」、磁器は「石」が主な原料となります。原料が異なることでそれぞれの特徴も変わり、見た目や手触り、保温性、耐久性などが変わってきます。食器で例えると、陶器は和食器・磁器は洋食器に多く見られます。和食器と洋食器の違いをイメージすると、陶器と磁器の違いも何となく理解しやすいのではないでしょうか。
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