古銭収集で耳にする機会のある「絵銭」。もしかしたら骨董市などでも、絵や模様が描かれた不思議な古銭を見かけたことがあるかもしれません。
「絵銭って何?」
「絵銭の価値は?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、魅力あふれる古銭「絵銭」について、その特徴や歴史、そして現代における価値を分かりやすく解説します。
代表的な絵銭の種類とその買取相場、さらには賢い売却方法まで詳しく紹介。絵銭の知識を深めたい方、お手持ちの絵銭の価値を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
絵銭について
日晃堂でお買取した絵銭「念仏銭」
絵銭とは「えぜに」とも呼ばれ、絵などが刻印された古銭です。
室町時代から大正時代にかけて存在し、日本の広い地域で使用されていました。さまざまな用途に用いられ、現在では多くのコレクターに愛されています。
まずは、絵銭の特徴や用途、歴史について解説します。
絵銭の特徴
絵銭は、動物の絵や七福神、富士山、文字などさまざまな柄が描かれた古銭です。多くは穴銭といわれる中央に穴が開いた仕様で、小判型や円が欠けたような形などのデザインもあります。
形や柄のバリエーションが豊富で実にさまざまな種類が存在するため、コレクターズアイテムとしても注目されている点も特徴です。
全種類のコンプリートを目指すコレクターも多く、古銭市場で活発に売買が行われています。
絵銭の用途
絵銭は硬貨を模した工芸品であり、通貨として使用されたものではありません。
商家の記念品や子ども用のおもちゃ、魔除けや厄除けのお守り、寺社の上棟式での儀式用のものなど、種類によって多岐にわたる用途で使われていたといわれています。
絵柄によって当時の文化や時代背景が反映されていることから、現在では貴重な文化資料として扱われるほか、コレクターの収集物としても人気です。
絵銭の歴史
絵銭のはじまりは定かではありませんが、16世紀末に渡来銭を模造して私鋳する職人が出てきたことがきっかけといわれています。
1670年に寛永通宝以外の貨幣が流通禁止となった際、職人は私鋳の技術を応用して絵銭を鋳造するようになったことから、収集用の絵銭が盛んに流通しました。
1700年代後半になると寺院や神社がお守りとして参拝者に配布するようになり、その後は子どもの面子用や石蹴り用のおもちゃ、新築の上棟式に用いる記念品など、さまざまな用途へ拡大していったといわれています。
絵銭の種類一覧と買取相場
代表的な絵銭の種類について、特徴や買取相場などを紹介いたします。
鏡屋銭(かがみやせん)
「鏡屋銭」は不明点が多い絵銭で、京都の鏡職人が製造したという説や銀座の職人が製造したという説があります。
さまざまな種類が存在し、表面は「左三つ巴」や「橘花」「扇」「源氏車」などの家紋の彫られたデザインがほとんどです。子どもが面子をする際に使用され、明治時代から大正時代に流通しました。
買取相場はデザインなどによって異なり、菊花紋と並んで天皇家の家紋としても知られる「五七桐」や菅原家の家紋として有名な「梅花」は、10万円前後で取引されることがあります。
浅間銭(あさません)
「浅間銭」は、富士山を神格化した浅間大神を祀る神社「浅間神社」の信徒が護符として身に付けるために使用された絵銭です。
大黒様をはじめとする七福神や噴火した富士山などがデザインされ、鏡屋銭のように面子として使用されることもあったといわれています。
デザインによって買取相場に差があり、浅間神社に祀られている恵比寿神が描かれた「浅間恵比寿」や、浅間神社の御祭神である「浅間大神(あさまのおおかみ)」と「木花之佐久夜毘売命」が描かれた「浅間二神」などは人気が高く、数十万円で買い取られることもあるでしょう。
穴一銭(あないちせん)
穴一銭とは、江戸時代に子どもたちの間で流行った遊び「穴一」に使用されたといわれています。穴一は、地面に小さな穴をあけ、1mほど離れた線の外から小石や絵銭などを投げ入れて勝敗を競う遊びです。
福の神や宝珠、平家物語の「橋合戦」など、多くのデザインが造られました。買取相場は数百円から数千円ですが、希少価値が高いデザインは数十万円で取引されることもあります。
福神類
「恵比寿」「大黒天」「毘沙門天」「弁財天」「布袋」「福禄寿」「寿老人」の神様を七福神と呼び、絵銭にはしばしば七福神のいずれかが描かれたものが存在します。
七福神の絵銭は人気が高く、刻印が摩耗せずにしっかり残っているものは高額買取が期待できるでしょう。とくに、恵比寿や大黒天、弁財天といった商売繁盛や財運にご利益があるといわれている福神は需要があり、査定額が高くなるでしょう。
市場では1枚数十万円で買い取られることもあり、七福神の絵銭がセットで売買されていることも少なくありません。
駒曳き銭(こまひきぜに)
「駒曳き銭」は馬が描かれた絵銭で、金運のお守りや縁起物として江戸時代に流行したといわれています。
当時、馬は「神の乗り物」として考えられており、神秘的なパワーを持つ神聖なる動物とされていました。そのため、駒曳き銭は庶民の間で広まるほか、呪術力があるとしてまじないなどに使用されることもあったとされています。
駒曳き銭にデザインされている馬はさまざまな種類があり、あまり見ないデザインであれば高額買取が期待できるでしょう。多くは数千円から数万円前後で取引されることが多く見られます。
また、猿が馬を引いている駒曳き銭は「大迫銭(おおはさません)」といわれ、状態が良好であれば数十万円となるでしょう。
五位堂銭 菊(ごいどうせん きく)
「五位堂銭」は、現在の奈良県香芝市五位堂で製造された絵銭で、子どもの石蹴り遊びが主な用途です。中央には穴がなく、多くは鉄で造られていました。
明治時代に造られ、絵銭のなかでは比較的新しい種類として知られています。五位堂銭は兜や唐花、酉などの動物が描かれることも多く、そのほか「宝」などの文字がデザインされることもありました。
なかでも菊が描かれているものは人気が高く「五位堂銭 菊」として、数万円で取引されることもあります。
紋切銭(もんきりせん)
紋切銭は、江戸時代後期に「飾職人」が手がけたといわれている絵銭です。飾職人とは金属を使って装飾品を制作する職人で、繊細な作業をこなす技術を持っています。
紋切銭には、当時人気が高かった歌舞伎役者の定紋や頭文字などが、飾職人ならではの精巧なデザインで施されています。文化的価値に加えて芸術的価値が高いことから、高額買取が期待できる種類です。
なかでも、五三桐紋や亀甲紋といったデザインは高値で買い取られるでしょう。
念仏銭(ねんぶつせん)
念仏銭は「南無阿弥陀仏」という文字が刻印されており、浄土真宗や浄土宗など仏教徒が身に付けるお守りとして造られました。
1600年代には故人を弔う際、一緒に棺に入れる「六道銭」としても使用されたといわれています。六道銭は三途の川を渡るときに必要な渡船料と考えられており、極楽浄土までの道のりで故人が困らないようにするためのものです。
念仏銭は絵銭のなかでは比較的落ち着いた価値ですが、寛永通宝の2倍にもなる大きさのものは「大念仏」と呼ばれ、数万円の価格がつくこともあります。
水戸虎銭(みととらせん/みとこせん)
「水戸虎銭」は、幕末に水戸藩が鋳造した地方銭です。幕末試鋳貨・地方貨として分類されることもありますが、立派な図案が描かれていることから絵銭の一部として扱われることもあります。
片面には虎、反対側の面には「富国強兵」の文字が刻印されました。
水戸藩の銭座が銭貨の製造作業開始を記念し、蒔銭(まきぜに)として造られたといわれています。人気が高いデザインであることや、歴史的・文化的価値があることなどから、数万円で買い取られることが多いでしょう。
状態が良好なものは10万円前後になることもあります。
絵銭を売る方法
・リサイクルショップ
・ネットオークション・フリマアプリ
・買取業者
絵銭を売る方法には、一般的に「リサイクルショップ」「オークションやフリマアプリ」「買取業者」の3つが考えられます。
それぞれの特徴やメリット・デメリットなどを見ていきましょう。
リサイクルショップ
リサイクルショップは、買い取ったものを実店舗で販売する仕組みのショップです。幅広い品物に対応しており、絵銭を買い取ってくれるショップもあります。
査定無料のところが多く、時間もあまりかからないため、絵銭をすぐに現金化したいときなどに便利です。
しかし、絵銭に精通している査定士が在籍していないショップがほとんどで、適正価格で取引できない可能性があります。
ネットオークション・フリマアプリ
ネットオークションやフリマアプリは、自宅にいながらインターネットで誰でも簡単に出品できるシステムです。
コレクターがチェックしている可能性が高いため、高額で売買できるケースがあります。ただし、個人間取引となることから、多くのトラブルが報告されていることも事実です。
また、出品商品の管理や配送手続きなどに対応しなければならないことも把握しておきましょう。
買取業者
買取業者は買取専門の業者で、買い取ったものをさまざまな流通ルートで需要があるところに再販します。特定のジャンルに特化した業者が多く、古銭買取業者は絵銭について知見を持った査定士が在籍。
訪問や宅配などさまざまな買取サービスを提供しており、生活スタイルなどに合ったサービスが選択できる点も特徴です。
どの買取サービスも査定料や手数料はかからないところがほとんどで、絵銭の買取実績が高い業者を選択すればすぐに適正価格で現金化できるでしょう。
おわりに
絵銭とは室町時代から大正時代まで流通した古銭で、絵や文字などが描かれています。貨幣として流通したのではなく、子どものおもちゃやお守り、記念品などの用途で用いられました。
絵柄によって時代背景や文化などが垣間見えることから現在では貴重な資料としても扱われ、多岐にわたる種類があるため、コレクターズアイテムとして注目されています。
高額買取が期待できる種類は、京都の鏡職人が製造したといわれる「鏡屋銭」や浅間神社の信徒がお守りとして用いたといわれる「浅間銭」のほか、子どもが石蹴りで使ったとされる「五位堂銭 菊」などです。
とくに七福神が描かれている図柄などは人気が高く、高額になる可能性があるでしょう。
絵銭を売る方法は、リサイクルショップやネットオークション、フリマアプリなどがあり、適正価格で安全な取引をするには買取業者がおすすめです。
絵銭の買取実績が高い日晃堂は、さまざまな絵銭を適切に査定できるプロの査定士が対応します。希少性や需要、造られた時代などを総合的に判断し、損のないお取引が可能です。
絵銭の買取は、日晃堂にお任せください。
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※記事内に掲載している買取価格は参考価格となり、買取価格を保証するものではございません。同様の作品であっても査定時の相場や作品状態などによって買取価格は変動いたします。