繊細な青の絵付けが目を引く「ブルーオニオン」。ヨーロッパの高級磁器を代表するこのシリーズは、ドイツの名窯・マイセンで18世紀に誕生して以来、世界中で愛され続けている名作です。
しかし、「玉ねぎ」というユニークな名前の由来や、本物のブルーオニオンを見分けるポイントなど、意外と知られていない情報も多くあります。
この記事では、ブルーオニオンの歴史・特徴・見分け方を分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
ブルーオニオンとは?
ブルーオニオンとは、ドイツの名門陶磁器ブランド「マイセン(MEISSEN)」が生み出した、青一色の絵付けが特徴的な磁器シリーズです。
18世紀に初めて製作されて以来、ヨーロッパ中に広まり、現在では世界的に知られる伝統デザインとなっています。
ブルーオニオンの意味と名称の由来
“ブルーオニオン”という名は直訳すると「青い玉ねぎ」ですが、実際に描かれているのは玉ねぎではありません。
中国磁器に描かれていた桃やザクロなどの果実を、西洋人が玉ねぎと誤認したことからこの名前がついたとされています。
このようなエピソードも、ブルーオニオンの魅力を知れる要素のひとつです。
ブルーオニオンはマイセンが生んだ磁器デザインの代表格
ブルーオニオンは、マイセンがヨーロッパ初の硬質磁器を生産できるようになった後、1739年に開発されました。
青い絵付けはコバルト顔料によって手描きされ、焼成中に独特の深みを帯びることで知られています。
マイセンにおける最も象徴的なシリーズであり、多くの愛好家にとって「マイセンといえばブルーオニオン」と言われるほど代表的な存在です。
ブルーオニオンのデザインの特徴
見た目の美しさはもちろん、ブルーオニオンには細部にまでこだわったデザイン要素が詰まっています。
古典的でありながら、時代を超えて愛される理由を探っていきましょう。
玉ねぎではなく◯◯?モチーフに隠された秘密
前述の通り実際のモチーフは玉ねぎではなく、桃やザクロ、竹や菊など、東洋的な植物がベースとなっています。
これらは中国磁器に見られる吉祥文様を西洋的な解釈でアレンジしたもので、当時の東洋趣味(シノワズリ)を反映したものです。
職人技が光るブルーの絵付けと技法
ブルーオニオンの絵柄はすべて職人の手によって描かれており、ラインの強弱やわずかなブレに「味」が宿っています。
特にマイセンでは、職人ごとに若干の描き癖があるため、一点一点の個体に表情の違いが見られるのも魅力のひとつです。
手描きならではの温もりが、量産品にはない価値を生み出しています。
和食器との相性も抜群な理由
白磁に藍色の絵付けという配色は、日本の有田焼や染付けにも共通する要素があります。そのため、和食との相性が非常に良く、お刺身や煮物を乗せても不思議と馴染みます。
洋食器でありながら、日本の食文化とも調和するデザインは、ブルーオニオンの隠れた魅力といえるでしょう。
ブルーオニオンの歴史と進化
ブルーオニオンの人気は、長い歴史にも関係しているのです。18世紀から現在まで、形を変えながら受け継がれてきたストーリーを紹介します。
18世紀の誕生と中国磁器からの影響
ブルーオニオンは、1739年に中国の青花磁器(青と白の染付け磁器)を模範として誕生しました。
当時ヨーロッパでは東洋文化が人気を博しており、その影響を受けたマイセンが自国技術で生み出したのが始まりです。
オリジナルでありながら、中国磁器への憧れとリスペクトが込められています。
時代ごとの変化するバリエーション
ブルーオニオンには、クラシックなデザイン以外にもモダンアレンジされたシリーズや、ゴールド装飾が施された豪華版、マイセン以外のブランドによる復刻品など、様々なバリエーションが存在します。
それぞれに個性があり、コレクターからも人気です。
現代でも続く手描き技術と復刻版の存在
現在もマイセンでは、伝統的な手描きによるブルーオニオンの制作が続いており、熟練の職人が1点1点丁寧に仕上げています。
また、ヴィンテージ品や復刻版も高い人気を誇り、時代を越えてブルーオニオンの人気は継承されているのです。
本物のブルーオニオンを見分けるポイント
近年では、ブルーオニオンの人気に乗り、模倣品や類似デザインも市場に出回っています。本物の価値を見極めるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
マイセンの刻印と製造年の見極め方
マイセンの磁器には、交差する二本の剣を模した「双剣マーク」が底部に刻印されています。これが本物を見分ける重要な証です。
また、剣の形や付随するマークによって製造年代が判別できます。
マイセンの特徴である双剣マーク
手描きかプリントかの違い
手描きのブルーオニオンは、筆のかすれや絵柄の微妙な違いがあります。対してプリント品は機械的な均一さがあり、線に“味”がありません。
マイセンのブルーオニオンは基本的に手描きなので、手描きであるかどうかが本物の指標のひとつです。
おわりに
ブルーオニオンは、ヨーロッパの磁器文化を象徴する逸品でありながら、どこか親しみやすさを感じさせる不思議な魅力を持っています。
マイセンの職人たちによって長年受け継がれてきた技術とデザインは、時代や国境を超えて高い人気を誇ります。
テーブルウェアとしての実用性はもちろん、インテリアやギフト、資産価値としての魅力も兼ね備えたブルーオニオンは、まさに「持っておきたい名品」と言えるでしょう。
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