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絵画の号数とは?F・P・M・Sの意味とサイズ一覧をわかりやすく解説

絵画の作品解説や画材店の商品案内で見かける「10号」「F6」「SM」といった表記は、絵画の大きさを知るための目安です。

初めて絵画を選ぶ方や、自宅にある作品の大きさを調べたい方にとって、数字やアルファベットが何センチメートルを指すのかはわかりにくいところでしょう。

絵画の号数は、キャンバスやパネルなどの支持体の大きさを表すサイズ表記です。数字に「F」「P」「M」「S」の記号を組み合わせると、日本サイズなど各規格における長辺と短辺の基準寸法を確認できます。

この記事では、日本国内で広く使われている号数の仕組みと0号から150号までの寸法一覧、各アルファベットが表す画面の形を解説します。

世界的な名画の実寸との比較や、手元の作品の大きさを確かめる手順も紹介するので、絵画のサイズ選びや飾り付けに役立ててください。

絵画の号数でわかること

絵画の号数とは?F・P・M・Sの意味とサイズ一覧をわかりやすく解説

絵画の号数は、キャンバスや木製パネルといった支持体の大きさを表すために用いられるサイズ表記です。

日本国内では「日本サイズ」と呼ばれる寸法体系が広く使われており、画家が画材を選ぶときや、展示会で作品規模を示すときの共通の目安になっています。

支持体とは、油絵の具やアクリル絵の具を受け止める土台のことです。代表例として、木枠に麻や綿の布を張ったキャンバスや、合板などで作られた木製パネルがあります。

号数の数字は、あらかじめ決められた寸法グループに割り振られた固有の番号です。「10号なら長辺10cm」といった単純な対応はなく、実寸はサイズ表で確認します。

号数が大きくなるにつれて、画面全体の規模もおおむね大きくなります。数字と実寸の関係は比例ではなく、号数ごとに規格寸法が個別に定められています。

実寸を特定するには、数字とアルファベットをセットで見ることが欠かせません。

同じ10号でも「F10」「P10」「M10」「S10」と系列が変われば短辺の長さも変わるため、英字まで確認して初めて基準寸法がわかります。

もうひとつ押さえておきたいのが、支持体の寸法と額縁を含めた外寸の違いです。

額縁を付けると、壁に飾るときの全体寸法は支持体よりも大きくなります。額縁の幅によっては、作品本体より外寸が数十センチメートル大きくなる場合もあります。

壁面や展示スペースに収まるかを考えるときは、号数だけでなく額縁を含めた外寸も確認しておきましょう。

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絵画の号数とサイズ一覧

絵画の号数とは?F・P・M・Sの意味とサイズ一覧をわかりやすく解説

日本国内の画材店や美術の現場で一般的に用いられている寸法体系は「日本サイズ」と呼ばれ、国内で流通するキャンバスや額縁の多くがこの規格で作られています。

以下の表は、日本サイズにおける0号から150号までの代表的な寸法をまとめたものです。

単位はミリメートル(mm)で、「長辺×短辺」の形式で記載しました。S系列は正方形のため、長辺と短辺が同じ数値になります。

※ この表は横にスクロールして閲覧できます

号数 F P M S
0 180×140 180×120 180×100 180×180
1 220×160 220×140 220×120 220×220
SM 227×158 ― ― 227×227
2 240×190 240×160 240×140 240×240
3 273×220 273×190 273×160 273×273
4 333×242 333×220 333×190 333×333
5 350×270 350×240 350×220 350×350
6 410×318 410×273 410×242 410×410
8 455×380 455×333 455×273 455×455
10 530×455 530×410 530×333 530×530
12 606×500 606×455 606×410 606×606
15 652×530 652×500 652×455 652×652
20 727×606 727×530 727×500 727×727
25 803×652 803×606 803×530 803×803
30 910×727 910×652 910×606 910×910
40 1000×803 1000×727 1000×652 1000×1000
50 1167×910 1167×803 1167×727 1167×1167
60 1303×970 1303×894 1303×803 1303×1303
80 1455×1120 1455×970 1455×894 1455×1455
100 1620×1303 1620×1120 1620×970 1620×1620
120 1940×1303 1940×1120 1940×970 1940×1940
130 1940×1620 ― ― ―
150 2273×1818 2273×1620 2273×1455 2273×2273

※サイズ表の掲載範囲や製品展開は、メーカーや販売店によって異なります。本表では国内で流通している代表的な日本サイズの掲載です。0号のP・Mなど、資料によって掲載の有無が分かれるサイズもあります。

表中の「SM」は、サムホールと呼ばれるサイズです。

名称は、底の穴に親指を入れて片手で持つ小型のスケッチ箱や、その箱に収めるスケッチ板に由来し、転じて227×158mmの画面サイズを指すようになりました。

1号と2号の間に位置する小型のサイズとして用いられ、正方形のS系列では227×227mmも展開されています。

海外にはフランスサイズや国際サイズといった別の体系があり、海外作品を見るときは制作国や年代による規格の違いを意識しておくと役立ちます。

150号より大きなキャンバスもあり、画材店のサイズ表には200号・300号・500号といった大型サイズも掲載されています。

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F・P・M・Sで絵画の形が変わる

絵画の号数とは?F・P・M・Sの意味とサイズ一覧をわかりやすく解説

号数に付く「F」「P」「M」「S」は、同じ号数の中で縦横比の違いを区別する記号です。数字が同じでもアルファベットが変わると、画面の形や受ける印象が大きく変化します。

各記号は、フランス語や英語の頭文字に由来しています。

F(Figure)

フランス語で「人物」を意味し、人物型と呼ばれる画面形式です。

P(Paysage)

フランス語で「風景」を意味する風景型で、Fより短辺が狭くなります。

M(Marine)

フランス語で「海景」を意味する海景型で、F・P・Mの中で最も細長い比率を持ちます。

S(Square)

英語で「正方形」を意味し、縦と横の長さが等しい形です。

F・P・Mは、それぞれ人物・風景・海景と結び付けて説明されてきた画面形式です。名称はモチーフに由来するものの、現代の画家は題材にとらわれず自由に選んでいます。

人物をPやMの画面に描くことも、風景をFやSに描くことも珍しくなく、表現したい構図や広がりに合わせて比率を選ぶのが基本です。

長方形のF・P・Mは、縦向きでも横向きでも使えます。向きに決まりはないため、作家の構想に合わせて縦長の構図にも、横長の構図にも対応できます。

同じ号数で形がどう変わるのか、代表的な「10号」を例に各系列の寸法を比べてみましょう。

表記 日本サイズ
F10 530×455mm
P10 530×410mm
M10 530×333mm
S10 530×530mm

表を見ると、長辺はどの系列も530mmで共通しています。正方形のS10も530×530mmで、すべてが530mmの長辺を基準にしていることがわかります。

違いが現れるのは短辺です。F10の短辺は455mmと正方形に近いゆったりした幅を持ち、P10では410mm、M10では333mmまで狭まります。

同じ10号でも、FからMへ進むにつれて画面は細長いプロポーションへと変わっていきます。

同じアルファベット系列でも、縦横比は号数ごとに少しずつ異なります。額縁を選ぶときや設置場所の寸法に合わせたいときは、号数とアルファベットの両方を確かめておきましょう。

名画の実寸から絵画の大きさをイメージする

絵画の号数とは?F・P・M・Sの意味とサイズ一覧をわかりやすく解説

ミリメートル単位の数値だけで、絵画の存在感を思い描くのは難しいものです。世界的な名画の実寸を知ると、展示室での迫力や部屋に飾ったときの大きさを具体的にイメージしやすくなります。

ここで取り上げる作品はいずれも、日本サイズに基づいて制作されたものではありません。

日本の号数へ正式に換算するのではなく、長辺・短辺・縦横比を日本の号数と見比べ、スケール感をつかむ参考例として紹介します。

フェルメール《マルタとマリアの家のキリスト》

オランダの画家ヨハネス・フェルメールが1654〜1655年ごろに制作した油彩画で、スコットランド国立美術館に所蔵されています。

現存するフェルメール作品の中で最大であり、知られている唯一の聖書主題作品でもあります。

カンヴァスに描かれた作品本体の実寸は、縦158.5cm×横141.5cm(1585×1415mm)。成人の身長に迫る縦長の画面に、キリストと言葉を交わすマリアと、給仕に追われるマルタの姿が描かれています。

長辺158.5cmは、日本サイズの100号(長辺162.0cm)に近い長さです。短辺や縦横比は日本の規格と異なるものの、100号前後の大作が持つスケール感をつかむ手がかりになるでしょう。

この作品は、作品本体と額装後の外寸の差を知る好例でもあります。

所蔵館の公式記録によると、額装後の外寸は197.5×179.2×15.5cm。作品本体より縦横とも約40cm大きくなり、厚みも15cmを超えるため、展示には高さ2m近い壁面が求められます。

絵画を飾る際に、額縁の幅や厚みまで計算に入れる大切さがよくわかる例です。

スーラ《グランド・ジャット島の日曜日の午後》

新印象派を代表するフランスの画家ジョルジュ・スーラが1884〜1886年に制作した作品で、アメリカのシカゴ美術館に所蔵されています。点描技法で光と大気を表現した、近代美術を代表する一枚です。

油彩・カンヴァスによる本作品の実寸は、縦約207.5cm×横308.1cm(約2075×3081mm)。横幅が3mを超える画面に、公園で余暇を過ごす多数の人物や動物が、整然とした構図の中に描かれています。

この記事の一覧で最大となる150号(長辺227.3cm)と比べても、横幅308.1cmは約80.8cm長いサイズです。横幅が3mを超えるため、展示には広い壁面を必要とする大きさです。

スーラは約2年をかけて、この大画面の制作に取り組みました。無数の色点で埋め尽くされた画面は、サイズが鑑賞体験をどう左右するかを考えるうえでも興味深い逸品です。

ルノワール《眠る少女(Sleeping Girl)》

フランスの印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールが1880年に制作した人物画です。

アメリカ・マサチューセッツ州のクラーク美術館に所蔵され、所蔵番号は1955.598。日本の文化庁の資料にも「眠る少女 / Sleeping Girl」の名称で記載されています。

作品の実寸は、縦120.3cm×横91.9cm(1203×919mm)です。椅子に座ってまどろむ少女の姿が、ルノワールらしい柔らかな筆致と温かな色彩で描き出されました。

日本サイズのF50は116.7×91.0cm(1167×910mm)で、《眠る少女》はこのF50に比較的近い寸法を持ちます。海外で制作された作品ながら、50号前後の大きさをイメージする参考になるでしょう。

F50は116.7×91.0cmで、長辺が1mを超えるサイズです。人物画でも比較的大きな画面を確保できます。

モネ《ラ・ジャポネーズ》

印象派を代表するクロード・モネが1876年に手がけた作品で、アメリカのボストン美術館に所蔵されています。

19世紀後半のヨーロッパで流行したジャポニスム(日本趣味)を象徴する一枚として、高い評価を得てきました。

カンヴァスに油彩で描かれた作品の実寸は、縦231.8cm×横142.3cm(2318×1423mm)。華やかな刺繍を施した着物をまとい、扇を手に振り返る妻カミーユの姿が、大きな画面に描かれています。

日本サイズのM150は227.3×145.5cm(2273×1455mm)で、《ラ・ジャポネーズ》との差は長辺で4.5cm、短辺で3.2cmほど。150号の細長い画面がどれほどの高さになるのかを、直感的につかめる作品です。

作品本体だけでも、一般的な住宅の天井高(約2.4m)に迫る高さがあります。

天井の高い美術館の壁面に掛けられると、描かれた人物が目の前に立っているかのような臨場感が生まれるでしょう。

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お手元の絵画は号数と実寸を合わせて確認する

絵画の号数とは?F・P・M・Sの意味とサイズ一覧をわかりやすく解説

受け継いだ絵画や購入を検討している作品は、号数の表記と実寸の両方を確かめておくと安心です。海外作品や古い作品には、日本サイズと一致しない寸法のものもあります。

まずは、作品の寸法を見極める手順を押さえておきましょう。

作品の裏側や木枠を確認すると、「F10」「P8」などのサイズ表示が、印字やスタンプ、シールなどで残されている場合があります。

表示が見つかれば、前述のサイズ一覧表と照らし合わせることで、規格上の寸法をすぐに把握できます。

▼共シールについて詳しくはこちら
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サイズ表記が見当たらない場合

もし、裏面にサイズ表示が見当たらない作品や、古い油彩画で文字が読み取れない場合は、メジャーで支持体の外形寸法を測るのが確実です。

長辺と短辺をミリメートル単位で測って一覧表と比べれば、どの号数を基準に作られたものかを推測できます。

作品が額縁に収まっている場合、額縁の外寸や正面から見える画面寸法だけでは、支持体そのものの大きさを正確に把握できないことがあります。

号数を確認するときは、可能であればキャンバスやパネルの外形寸法を測りましょう。壁に収まるかどうかを調べたいときは額縁の最も外側を測る、という使い分けが便利です。

海外規格や変形キャンバスに注意

既製の規格木枠のほかに、特注の木枠や海外規格のキャンバス、変形キャンバスを使った作品も数多くあります。

お手元の作品の実測値がサイズ表のどの行とも一致しない場合は、こうした支持体が使われている可能性もあります。規格表と数値が合わないのは、ごく自然なことです。

海外で制作された作品や、海外製の画材を使った作品は、表記の読み方に気を配りたいところです。

フランスサイズや国際サイズの支持体は、日本と同じ「10号」「F」という名称でも、寸法が数ミリメートルから数センチメートル程度異なる場合があります。

海外作品を保管・額装する際は、号数表記とあわせてメジャーで測った実寸を控えておくと確実です。

なお、張りキャンバスは、画布の厚みや製品仕様によって、実測値が規格上の木枠寸法と数ミリメートル程度ずれることがあり、この程度の差は、規格品として自然な仕上がりの範囲と受け止めてよいでしょう。

絵画の号数に関するよくある質問

絵画の号数とは?F・P・M・Sの意味とサイズ一覧をわかりやすく解説

絵画の号数について、よく寄せられる疑問を質問形式でまとめました。

絵画の号数は数字が2倍になると面積も2倍になりますか?

号数の数字と作品の面積は、比例関係にありません。

たとえばF2(240×190mm)の面積は456平方センチメートルです。数字が2倍のF4(333×242mm)は約806平方センチメートルとなり、2倍にあたる912平方センチメートルには届きません。

面積を比べたいときは、サイズ表の長辺と短辺を掛け合わせて計算するのが正確です。

キャンバスのFとPのどちらを選ぶべきか迷ったときの基準はありますか?

描きたい構図の広がりや、主役となるモチーフの配置で選ぶのが自然です。

F系列は短辺が広く、正方形に近い落ち着いた比率を持ちます。人物の胸像や静物画、中心に主役を据えて余白をゆったり見せたい構図に向いています。

P系列はFより短辺が狭く、ほどよく細長いプロポーションです。左右に広がる街並みや山並み、すらりと伸びる樹木や人物の立ち姿を収めたい場面で力を発揮するでしょう。

額縁を選ぶときは絵画の号数と同じ表記のものを選べばよいですか?

日本国内で販売されている油彩画・アクリル画用の規格額縁は、日本サイズのキャンバスに合わせて内寸が設計されています。

手元の作品が日本サイズのF10であると確認できている場合は、同じ「F10号用」と記載された規格額縁が基本的な選択肢となります。

特注寸法の木枠や海外規格のキャンバスに描かれた作品は、規格額縁の内寸と合わない場合もあります。購入前に支持体の長辺・短辺・厚みを測っておくと、安心して額装を進められるでしょう。

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おわりに

絵画の号数とは?F・P・M・Sの意味とサイズ一覧をわかりやすく解説

絵画の号数は、キャンバスや木製パネルなど支持体の大きさを表すサイズ表記です。数字はcmや面積そのものを示すものではなく、寸法グループに付けられた固有の番号にあたります。

実際の寸法を知るには、数字に加えて「F(人物型)」「P(風景型)」「M(海景型)」「S(正方形)」の系列を確認することが欠かせません。

同じ10号でも、F10からM10へと短辺が変わることで、画面のプロポーションや印象は大きく変わります。

作品を調べるときや新しい絵画を迎えるときは、号数表記の確認に実測や額縁を含めた外寸の把握を組み合わせてみましょう。

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