上村淳之(うえむらあつし)1933年–
上村淳之は現代美術を牽引する日本画家です。
祖母は女流日本画家として有名な上村松園、父は日本画家の上村松篁で、画家一族の息子として生を受けました。
花鳥画を得意としており、中でも鳥をモデルにした作品が目立ちますが、これは自身が愛鳥家であるためだといわれています。そんな淳之は日本鳥類保護連盟奈良研究所所長としても活躍しており、作品を通して鳥の魅力を伝え続けています。
自然体の花鳥を描き続ける画家
1933年、京都府に生まれた上村淳之。
父・松篁は画家を生業とする厳しさを知っているからこそ、息子である淳之には東京大学工学部を目指すように教育しました。しかし、そんな親の意図に反し、淳之は画家を目指し、独学で京都府にある京都市立芸術大学に合格。しかし、大学入学後も両親の理解を得ることができなかったため、淳之は家を出て奈良県の空き家を自宅兼アトリエとしました。
このときに孤独に耐えられなかった淳之は、鳥を飼い始めます。以降、鳥は淳之の画家人生を支える大切な存在になりました。
上村淳之の花鳥画のモデルは、すべて自身が飼育している鳥であり、代表作「双鶴」では、自然体に近い2羽のタンチョウツルの姿を描き出すことに成功し、国内外から高い評価を得ています。 2007年には、パリで「上村淳之展」を開催。この個展で、日本が持つ「花鳥文化」を広め話題を呼びました。またNPO法人「花鳥の郷(さと)をつくる会」を設立。35ヘクタールもの山林を手に入れ、子どもたちが自然に触れられる場所を提供しています。
上村淳之の代表作
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「双鶴」
1979年に発表したこの「双鶴」は複数構成になっている作品で、二羽のタンチョウツルが向かい合って羽を広げたり、羽を休め寄り添い合ったりしている様子など、さまざまな瞬間を切り取り描いています。タンチョウツルの自然な表情が丁寧に引き出されており、鳥と共存する上村淳之にしか描けない作品だとして高く評価されています。
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「檳椰樹」
1961年に発表されたもので、檳榔樹と呼ばれる大きな葉に群青色の鳥たちが戯れる姿が印象的な作品。上村の初期の作品は油絵を思わせるような重厚感のあるタッチが特徴で、暗い色調の作品が目立ちますが、この『檳榔樹』も初期作品の特徴を感じられる一点となっています。
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「秋映」
1997年に発表した『秋映』は、秋の夕やけを表す明るい色彩が特徴。その「明るさ」と対象的な鳥たちの「憂い」の表情が繊細で美しい作品となっています。
その他、新歌舞伎座の舞台緞帳に描いた「水辺の四季」などが代表作として知られています。
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