佐藤太清(さとうたいせい)1913年–2004年
佐藤太清は昭和・平成にかけて活躍した日本画家です。
繊細な色彩感覚と巧緻な筆遣い、そして独自の感性をもって美しい風景画や花鳥画を数多く描いています。静謐な風景の中に花鳥の姿を描きこんで一体感を生み出す「花鳥風景画」を生み出し、その旗手として活躍しました。その画業は高く評価されており、生前は文化勲章を受章。その作品は現在においても高い価値を誇ります。
「花鳥画+風景画=花鳥風景画」を編み出した現代日本画の巨匠
1913年、佐藤太清は京都府に生まれました。
少年時代に画家を志し、1931年に上京。2年後に日本画家・児玉希望の門下に入って絵画を学びます。
その後は、病に倒れるなど不遇の時を過ごしてなかなか目が出ませんでしたが、1943年に新文展に発表した「かすみ網」が入選を果たしてデビュー。その画技が称賛を浴び、以後は日展(新文展から改称)に次々に作品を発表し、活躍します。 1940~1950年代には日展でたびたび特選に選ばれ、また美術協会展で佳作、日月社展で奨励賞を受賞するなど、高く評価されます。
1962年には新日展審査員、1965年には日展評議員となり、さらに1968年には国連本部に飾られる絵画の制作を当時の外務省に委託されて「白鷺」を制作しています。外務省関係の仕事としては、1972年に中国の日本大使館に飾られる絵画を依頼され、「孔雀」を納めています。 中国とは関係が深く、日中友好条約が締結された1978年には「花」が外務省に買い上げられ、当時の国家主席・華国鋒に贈られました。また翌年に中国で現代日本絵画展が開催される際には中国を訪問。文化使節の役割を担いました。 そのほか、海外ではフランスやイタリアといったヨーロッパ諸国、またメキシコなどを訪れています。
こうして、戦後日本画壇の重鎮として活躍した佐藤太清。晩年に至るまで旺盛な絵画制作を行い、90年の生涯をまっとうしました。
佐藤太清の代表作
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「竹庭」
精緻な筆遣いで描かれているのは、生け垣を背景に竹が伸び、苔むした岩が存在感を放ち、そのわきに1羽のハトがたたずんでいる情景。ありふれた庭の景色に見せつつ、調和のとれた一体感が表現されている傑作です。佐藤太清が編み出した「花鳥風景画」の神髄をなす作品のひとつであるといえます。
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「清韻」
透き通った濃いブルーの中で描かれているのは、樹齢200~300年の梅。表皮がいびつともいえる形に盛り上がり、数百年の間に曲がりくねって独特の形状になってしまった梅の木、しかしその枝にはみずみずしく可憐な花が今まさに咲き誇ろうとしているところ。気の遠くなるほどの時の流れとともに、今まさに目の前で芽吹いた命を描き、幽玄な世界観を表現しています。
その他、「牡丹」「迎春」などが代表作として知られています。
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