大山忠作(おおやまちゅうさく)1922年–2009年
大山忠作は、昭和から平成にかけて活躍した日本画家です。
人物画や宗教世界を背景にした作品を得意とし、その作品はいずれも高い評価を得ています。戦後に開催がスタートした日展では、初出品で入選したのを皮切りに、以後1回も落選することなく出品を続けるという驚異的な記録を生み出しました。代表作の多くは全国の主要な美術館ならびに博物館、さらに生まれ故郷の福島県二本松市にある大山忠作美術館に所蔵されており、高い価値を誇ります。
日展出品作の全作入選を果たした天才画家
1922年、大山忠作は福島県二本松市に生まれました。
1940年、東京美術学校(現在の東京藝術大学美術学部)に入学して日本画を学びますが、学徒出陣のために3年後の1943年に繰り上げ卒業。特攻隊の一員とされますが出発の時は訪れず、1946年に配属されていた台湾から帰国します。
戦争に振り回された青春時代を送った忠作ですが、帰国した年には早くも旺盛な創作意欲をもって作品制作に没頭し、院展に発表した作品が好評を博して画壇デビューを果たします。 翌年には法隆寺金堂壁画を模写するプロジェクトに参加し、その才能を発揮。また1949年からは日展に立て続けに作品を発表し、いずれも入選を果たすという快挙を成し遂げました。
その後は数々の展覧会で賞を獲得し、壁画の模写をはじめとする美術プロジェクトに積極的に参加して古今の絵画を学び、古典に立脚した独自の絵画世界を編み出しました。 1986年に日本芸術院の会員になって以降は、日展の理事長、さらには会長に任命されて日本画壇の重鎮となりました。 2000年代に入ってからも精力的に活動を続け、2007年には約170点に及ぶ自作を故郷の福島県二本松市に寄贈。2009年2月に帰らぬ人となりますが、その8ヶ月後の2009年10月、寄贈した作品をもとにした大山忠作美術館がオープン。その作品は現在でも多くの人に親しまれています。
大山忠作の代表作
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「池畔に立つ」
独自の色彩感覚で描かれた裸婦画であり、1952年に発表されました。池のほとりに立つ3人の裸婦が主題となっています。一見すると無個性な3人ではありますが、体の線や表情には繊細な描き分けがなされており、バラエティに富んだ作品世界が構築されています。 日展で不敗(全作入選)を誇った大山忠作の代表作であり、この作品は第8回の日展で特選に選ばれ、白寿賞および朝倉賞を受賞しました。
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「五百羅漢」
1972年に発表された作品で、羅漢(仏教世界の聖人)たちが描かれています。 青系の色で統一された静謐な世界観で描かれていますが、単色の青ではなく精緻な塗り分けによって重層的な色彩世界が仕上がっています。 1972年、日本芸術院賞を受賞した傑作です。
その他、「浜の男」「岡潔先生像」などが代表作として知られています。
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