王原祁(おうげんき)1642年–1715年
王原祁は、中国の清代初期に活躍した画家。
同時代に活躍した王翬、王鑑、王時敏、呉歴、惲寿平と並び称され、「四王呉惲」のひとりとされています。伝統を重んじ、黄公望をはじめとする過去の大家たちに深いリスペクトを捧げて制作を行ったことが特徴として挙げられます。
水墨画を得意とした作家ですが、特に「浅絳山水」という技法に長じていました。もとになる絵を水墨で描いたあと、黄赤色の顔料を使って淡い彩りを添え、陰影や深みを表現する表現方法です。
何度も塗り重ねて繊細に描き込んでいくことで、独特の奥ゆきをあらわしています。
そんな王原祁は、「四王呉惲」の中でも飛びぬけて素晴らしい画家と目されており、その作品は高い価値を持っています。
浅絳山水をきわめた「四王呉惲」の画家
1642年、王原祁は現在の中国江蘇省に生まれました。祖父には清代初期の巨匠として名高い画家の王時敏がおり、その薫陶を受けたこともあって幼い頃から絵画の才能を発揮します。 絵画のみならず幅広い学問において好成績をあげ、若くして科挙に合格。進士となり、1670年以降は宮廷に仕えて、「書画譜館」総裁をはじめ、主に書画関係の要職につきます。 古今の書画を研究し、内府に所蔵されている書画を鑑定する仕事を専門としました。 また同じく宮廷で『佩文斎書画譜』全100巻の編纂にあたるなどして、高い評価を得ています。
なお、王原祁は詩作にも並々ならぬ才能を示し、多数の著書を残しています。 1715年10月に亡くなるまで、巨匠の名をほしいままにして平穏な生涯を送りました。
絵画制作においては、ある時期から元王朝の時代に活躍した画家・黄公望の画業に強く惹かれるようになり、公望が完成させた「浅絳山水」の技法を活用した作品を多数生み出すようになります。 その作品は、その後の中国山水画に大きな影響を与えています。
王原祁の代表作
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「倣四大家山水図」
元朝時代の巨匠たち(黄公望、倪瓚、呉鎮、王蒙)の画風にならった、4幅で1組の作品です。 それぞれの作家の特徴を見事にとらえ、1幅ずつの作品を描いています。 現在は、京都国立博物館に所蔵されています。
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「秋林遠黛図」
はちきれんばかりの実りに満ちた、秋の山水風景を描いた1幅です。 雲がたなびく山の峰々と豊かな葉が茂る木々、そして淡い黄赤色の花がほのかに表現されています。王原祁が得意とした「浅絳山水」の技法が見事に生かされた傑作といえます。
その他、「云山無尽図」「夏山旭照図」などが代表作として知られています。
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