須田国太郎(すだくにたろう)1891年–1961年
須田国太郎は、大正から昭和にかけて活躍した日本の洋画家です。
東洋、西欧の絵画技術を理論的に研究し、独自の作風に昇華させました。
繊細な筆致でありながらも迫力ある質感を表現することに長けており、また巧みに陰影をつけることで奥行きのある写実的な作品を多く残しています。ジャンルとしては風景画や静物画などを幅広く描いており、このことから優れた描画力もうかがえます。
一方で美術に関する論文を多く執筆したり、教師として熱心に後進の指導に取り組んだりと、多方面で活躍。最晩年まで筆を折ることなく、関西画壇の発展に大きく貢献しました。
人生を絵に捧げた関西画壇を代表する画家
須田国太郎は1891年、京都市中京区に生まれました。
旧制第三高等学校(現・京都大学総合人間学部)在学中に独学で油彩を描き、進学先の京都帝国大学(現・京都大学)では哲学科で美学美術史を専攻。絵画の世界にのめり込んでいきました。
その後も学術面から美術を学びつつ、西洋画の基礎となるデッサンの腕を磨いた須田は、28歳の頃にヨーロッパの絵画技術に興味を持つようになります。そこで、当時身を置いていた関西美術院を退学して渡欧することを決意。スペイン・マドリードを拠点に、およそ4年間にわたって美術研究に勤しみました。
帰国後、ようやく日本で画業に取り組み始めたものの、公募展では相次いで落選。なかなか結果がともなわないことから、美術教師として教壇に立ち、後進の指導に力を注ぎました。
再び創作活動に励むようになったのは、50歳を目前に控えた1939年、独立美術協会会員になってからのことでした。 この頃から毎年作品を発表し続けた須田は、その独特の作風とこれまでの功績が評価され、国の栄誉機関・日本芸術院の会員に推挙されるほどになります。その後も最晩年まで意欲的に活動を続け、関西画壇に発展に大きく貢献しました。
須田国太郎の代表作
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「比叡山」
重厚感ある佇まいの比叡山を、薄暗い色調と荒々しいタッチで描いた作品です。 冷えて張り詰めた空気感を漂わせる一方で、どことなく透明感も感じさせます。 “黒の画家”と呼ばれるほどに暗色を好んだ須田ですが、決して陰鬱な空気感だけでは片付けられない奥深さが表現されている点が特徴といえるでしょう。
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「薔薇」
洗練されたデッサン力で被写体を描いたのち、パレットナイフで全面を削っては色を塗り、削っては塗り……という独特な手法を用いた須田。 本作品もこの手法によって描かれた作品であり、細部まで緻密に描写された薔薇が立体的に表現されています。平面に描かれたものとは思えないほどの重厚な美しさを放つ、活力に満ちた作品です。
そのほか、「工場地帯」「山陰風景」などが代表作として知られています。
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