海老原喜之助(えびはらきのすけ)1904年–1970年
海老原喜之助は、大正末期から昭和期にかけて活躍した洋画家です。
19歳でフランス留学を果たしており、以降、人生のほとんどをフランスで過ごしました。生涯を通してフランスをことなく愛した人物で、人生の最期もパリ16区で迎えています。
そんな海老原の作風は、鮮やかで印象的な青を基調としたものが多く見られます。この独特かつ優美な青はのちに「エビハラ・ブルー」と呼ばれ、国内外で高く評価されました。
一方で、馬を題材にした作品も数多く制作。具象画を得意としつつ、戦後は抽象的な構図にも挑戦するなど、最後まで新たな自己表現を追求し続けました。
生涯を通してフランスの地をこよなく愛し続けた洋画家
海老原喜之助は1904年、鹿児島県鹿児島市で生まれました。
少年時代から画家を志しており、絵とフランス語を学んだのちに19歳で初めての渡仏を果たします。
そこで、当時パリで活躍していた日本の洋画家・藤田嗣治に師事し、洋画を学びました。
また、留学中にもかかわらず、日本で開催された二科展に入選。さらにはフランスの展覧会「サロン・ドトーンヌ」にも初入選を果たし、その頭角を現します。
以降、ニューヨークでも個展を開催するなど、世界を舞台に目まぐるしい活躍を見せました。
そんな中、世界情勢の影響を受け、およそ10年ぶりに帰国。30歳にして初めて日本で個展を開催しました。 その後、独立美術会員や新興日本美術展覧会審査委員、日本大学専門部芸術科美術科(現・日本大学芸術学部)講師などを歴任。後進の育成に励みました。 こうして戦中、戦後も意欲的に活動し続けた海老原。飽くなき探究心を持って奮闘するものの、1970年、セーヌ川やブーローニュの森などを望むパリ16区内で息を引き取りました。
海老原喜之助の代表作
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「雪山と樵」
パリおよびニューヨークで個展を成功させ、画家としての名声を得たのちに描かれた作品です。 油彩画でありながらも東洋画の技法を取り入れている点、シンプルな白線、鮮やかな青で優美な銀嶺を表現している点が特徴。海老原ならではの、豊かな独創性が見て取れます。
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「曲馬」
帰国後、独立美術協会展に出品した、馬をモチーフとする作品です。 背景が鮮やかなエビハラ・ブルーで塗られており、あたかも果てしなく続く青空を演出しているかのような印象を受けます。 また、馬がシルエットで描かれているにもかかわらず、重量感や躍動感のある構図に仕上がっているのも、海老原ならではの独特な作風によるものでしょう。
そのほか、「殉教者」「船を造る人」などが代表作として知られています。
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