橋口五葉は鹿児島県鹿児島市に生まれました。
子供の時から地元で狩野派の画家に絵を教わり、その後東京美術学校西洋画科（現・東京芸術大学）に入学します。 西洋画でも頭角を現し、東京美術学校西洋画科を主席で卒業。しかし美人画への興味によって洋画から離れていきます。

また商業作家としての才覚も早々に現しました。在学中に雑誌の挿絵の仕事をこなしていたところ、夏目漱石に気に入られ、「吾輩ハ猫デアル」の装丁を担当。これが好評となり、商業作家として名声が高まります。
しかし作家志望の橋口は次第に浮世絵版画の研究に没頭するようになり、版画にのめり込んでいくこととなります。

晩年まで渡辺庄三郎の元で新版画運動に参加したり、3000点にもなる素描を繰り返すなど精力的に活動しました。相当な研究と努力の結果、「手拭いを持つ女」や「髪梳ける女」などの版画で代表作を生み出すに至ります。 自分の表現を見つけ、作家として大成している最中に1921年に病死。惜しまれる死となりました。