有元利夫(ありもと としお)1946年-1985年
有元利夫は昭和期に活躍した岡山県出身の画家です。
東京藝術大学でデザインを学びましたが、在学中に訪れたイタリアでフレスコ画に強い影響を受けました。
卒業後は電通でデザイナーとして働きながら、展覧会に出品を重ねていきます。
その後画業に専念するため電通を退社し、「洋画・フレスコ画・仏画」を融合させた独自の世界を切り開きました。
38歳という若さでこの世を去りましたが、「早世の天才画家」として根強い人気を誇っています。
早世の天才画家
有元利夫は、1946年に岡山県津山市で生まれ、東京の下町で育ちました。
小学校低学年の頃からゴッホに憧れ、東京藝術大学を目指して1969年に4浪のすえ入学。
在学中にヨーロッパへ旅行した際、イタリアのフレスコ画に深い感銘を受けました。
フレスコ画と日本の仏画の共通点を見出した有元は、岩絵具を用いあえて風化させる絵肌を作り出しました。
こうして生まれた作品が、1973年の卒業制作「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」です。
この10連作は大学買い上げとなり、高い評価を受けました。
大学卒業と同時にデザイナーとして電通へ入社しますが、働きながらでは制作の時間が取れずに1976年に退社。 母校の東京藝術大学で非常勤講師をしながら画業に専念します。 それからは、1978年に安井賞の特別賞を受賞すると、画壇に新しい風を吹き込む注目の存在となり多忙を極めました。 その後も各地の個展や展覧会に出品し、1981年に安井賞、1983年に美術文化振興協会賞など、数々の栄光に輝きます。 1984年日本青年画家展で優秀賞を受賞し、これからの将来を期待されていたところ病により入院。 入院の翌年、1985年に惜しまれつつも38歳という若さで亡くなりました。 その詩情に溢れる世界観で、没後も回顧展や図録が出版されるなど、多くの人々に愛されています。
有元利夫の代表作
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「花降る日」
この作品は、1978年に安井賞の特別賞を受賞し、画壇デビューするきっかけとなった作品です。 1977年に制作された、岩絵具と金泥を用いた技法で描かれており、風化したフレスコ画のような質感を生み出しました。 空から金色の光が降り注ぎ、散りばめられた花びらの中央に佇む女性は、螺旋状の塔に登っています。 艶を控えめにした奥行きのある色が、独特の空気感と神秘的な雰囲気を醸し出しています。
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「室内楽」
1980年に制作された油彩画で、裸の女性が赤い壁の前に座っている作品です。 130×162cmの大型作品で、東京国立近代美術館に所蔵されています。 この作品は音楽と絵画の関係を探求したもので、散らばる7つの球は音符を表しているようです。 女性は有元利夫の特徴的なスタイルで描かれており、頭が小さくて体格がしっかりしています。 女性の背後には青空が描かれており、閉ざされた空間に開放感を与えています。
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