安田靫彦の代表作

• 「夢殿」

  飛鳥時代の政治家・聖徳太子にまつわる伝説を作品化したものです。
  あるとき、聖徳太子が法隆寺の夢殿にこもって瞑想していたところ黄金色に輝く金人たちが現れ、尊い教えを授けました。安田靫彦は、聖徳太子を徳が高く高潔な人柄をしのばせる人物として描き、また彼を取り巻く美しい金人たちを神秘的な趣で描いています。この作品は現在、東京国立近代美術館に所蔵されています。

• 「飛鳥の春の額田王」

  こちらは、飛鳥時代の宮廷で唯一無二の美しさをうたわれた額田王を描いた作品です。
  額田王は天武天皇の妃でありながら天皇の兄・中大兄皇子に愛されたという伝説を持つ女性で、中大兄皇子が彼女の美しさをたたえて詠んだ「紫の匂へる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも(紫草のように匂やかな女性であるあなたを、人の妻でありながら今でも愛しています)」という和歌は有名です。そんな額田王を、安田靫彦は純和風の美女として描いています。背景の飛鳥京の街並みが美しく描写されているのも特徴です。この作品は現在、滋賀県立近代美術館に所蔵されています。