鈴木松年(すずきしょうねん)1848年–1918年
鈴木松年は、明治・大正の日本画家です。
豪快な筆遣いの大作を得意とし、風俗画や神話に材を取った作品で優れた業績を残しました。国際的な評価も高く、代表作のいくつかは海外の美術館に所蔵されています。
作品のタッチと同じく性格も豪快で激情家であり、しばしば同世代の画家たちと論争を巻き起こして注目を集めました。現代においても迫力たっぷりの作品は人気があり、高い価値を誇ります。
世界的な名声を得た誇り高き画家
1848年、鈴木松年は江戸時代末期の京都で生まれました。
父は、絵師として名高い鈴木百年。さらに母も絵画をたしなむという画家一家に生まれています。
血気盛んな若者だった松年は父の七光りで評価されることを嫌い、1870年、22歳のときに自ら1日で1000枚の絵を描くという企画を立ち上げ、見事に達成してその実力を周囲に認めさせました。 このように、異常なまでに誇り高く、さらに喧嘩っ早い性格だった松年は、画家として活動を本格化させてからもしばしば同世代の画家と論争を繰り広げることになります。 しかし、決して単なるビッグマウスではなく、作品に対しては真摯に取り組み、発表する作品の多くは高い評価を得ています。 1881年には京都府画学校の講師となり、学生を育てつつ自らも優れた作品を世に送り出しました。 1882年の第1回内国絵画共進会で褒状を受け、1884年にはまた内国絵画共進会に出品して銅賞を獲得。さらに、1885年には京都博覧会に作品を出品して高評価を受けます。
その後も国内の博覧会で数々の賞を受け、さらには1893年のシカゴ万国博覧会、1900年のパリ万国博覧会で高い評価を得ます。ここに至って松年の名声は海外でも高まりました。
こうして、晩年に至るまで旺盛な画家活動を続けた鈴木松年。多くの弟子を育てたことでも知られており、その中には女性初の文化勲章受章者・上村松園なども含まれていました。
鈴木松年の代表作
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「八岐の大蛇退治図」
日本神話の神・スサノオノミコトが怪物のヤマタノオロチを対峙している図を描いた作品です。
髭を逆立てたスサノオが鋭い剣をふるってオロチに立ち向かい、8つの頭を持つオロチもまた不敵な目つきでスサノオを睨みつけているという緊迫感たっぷりの迫力に満ちた場面が表現されています。 鑑賞する人に噛みつくかのような豪快な筆遣いは、まさしく松年ならではのものといえます。 -
「宇治川橋合戦図屏風」
源平時代、京都の宇治川橋で勃発した合戦の図を描いた作品です。
雨のように矢が降り注ぐ中、先陣争いをする勇壮な武者たちの姿が描かれています。 太刀を抱えて橋げたに飛び移る武者の姿は躍動感に満ちており、今にも戦場の矢声や叫喚が聞こえてきそうな迫力があります。
その他、「問安黙頷之図」「群仙図」などが代表作として知られています。
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