森田曠平(もりたこうへい)1916年–1994年
森田曠平は、昭和から平成にかけて活動した日本画家です。
力強い筆致で描く歴史画、人物画に定評があります。
小林柯白や安田靫彦に師事して絵を学んだのち、院展を舞台に数々の名作を発表。奨励賞や日本美術院賞、内閣総理大臣賞など、多くの賞を受賞した経歴を持ちます。また、1968年には第53回院展で日本美術院賞大観賞を受賞したのち、同人に選ばれました。
一方、1956年には多摩美術大学日本画科助教授に就任しており、教育家としても近代美術の発展に貢献しました。
歴史画や人物画で高い評価を獲得した院展同人
森田曠平は1916年、京都府京都市で生を受けました。
幼い頃から絵に触れていたものの、当時は主に洋画を学んでいたといいます。
その後、1935年に第1回京都市展への入選を果たすものの、幼少期からの病気が再発。目指していた京都市立絵画専門学校への進学を諦めます。
その5年後、大阪出身の日本画家・小林柯白に師事した森田は、ここで日本画を本格的に学び始めます。 1943年に「広沢の冬」で再興第30回院展に初入選を果たすものの、師・小林が胃潰瘍により急逝。悲しみに暮れつつも、翌年に日本画家・安田靫彦に師事します。 以降、院展で連続して入選を果たす森田ですが、この頃から安田の影響を受けて歴史画を多く描くようになります。 その後、小田原や横浜を転々としながら創作活動を続ける傍ら、1956年に多摩美術大学日本画科の助教授に就任。教育家として後進を指導しつつ、自身も研鑽をより深めていきました。 これより院展で連続して奨励賞を受賞した森田は、1965年に自身初となる日本美術院賞大観賞を受賞。さらにその3年後の1968年には、日本美術院賞大観賞を受賞したのち、院展同人に選ばれました。 その後も変わらず院展で活躍しつつ、初の個展を開催したり国立能楽堂の鏡板「松」を制作したりと、幅広く活動していた森田でしたが、1994年、78歳でこの世を去りました。
森田曠平の代表作
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「桜川」
1968年、第53回院展で日本美術院賞大観賞を受賞した代表作です。 森田は能をテーマにした作品を多く描いており、本作品もそのひとつ。桜の花びらが浮かぶ川沿いに腰かけ、凛々しい表情で彼方を見つめる女性が描かれています。はっきりとした線で力強く描かれているのが特徴です。
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「京へ」
第58回院展で内閣総理大臣賞を受賞した作品であり、故郷・京都への思いを込めた一作です。 柴を頭に乗せた、目鼻立ちのはっきりとした女性が描かれています。女性の表情や着物の柄などが細かく描かれている点に、森田の作風が如実に表れています。
そのほか、「大原女」「桃山おとめ」などが代表作として挙げられます。
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