山崎朝雲(やまざきちょううん)1867年 – 1954年
山崎朝雲は、明治から昭和にかけて活躍した彫刻家です。
日本の近代彫刻における巨匠のひとりであり、伝統的な木彫に西洋から取り入れた写実性を盛り込み、独自の作風を編み出しました。
その作品はいずれも高い評価を受け、戦前は帝室技芸員に認定され、戦後は文化功労者に選ばれるなど日本を代表する彫刻家として顕彰されました。作品は有名美術館に所蔵されているものも多く、いずれも高い価値を誇ります。
伝統的な木彫に写実性を盛り込んだ巨匠
幕末の1867年、山崎朝雲は現在の福岡県福岡市に生まれました。
1884年に仏師の高田又四郎に師事して彫刻を学び、才能をあらわします。
そんな朝雲の才能が広く世に知られるようになったのは1895年のこと。この年、京都で開かれた内国勧業博覧会に出品した「養老の孝子」という作品が巨匠・高村光雲に認められたのです。
その年、上京して光雲の弟子となり、さらに腕を磨きます。
才能ある彫刻家として認められた朝雲は、1900年に日本美術協会の幹事となります。 またその2年後には「亀山上皇銅像」の木型を完成させ、話題を呼びました。 1907年には、米原雲海や平櫛田中といった彫刻家たちとともに日本彫刻会の創設に携わります。 その後、優れた作品の数々を世に送り出し、1927年には帝国美術院の会員となり、さらに1934年には帝室技芸員に認定。また1937年には帝国芸術院の会員となりました。 戦後も活躍を続け、死去する2年前の1952年には文化功労者に選ばれています。
山崎朝雲の代表作
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「大葉子」
東京国立近代美術館に所蔵されている作品です。タイトルの「大葉子」は、「おおばこ」と読みます。
大葉子は実在の人物であり、奈良時代の武将・調伊企儺(つきのいきな)の妻。夫とともに朝鮮半島の国・新羅の戦いに赴きましたが、夫とともに捕虜となりました。 夫は新羅軍の武将の命令に背いたために処刑されてしまいますが、その際、大葉子は見事な和歌を詠んで周囲の人々を感心させたという逸話が残されています。 山崎朝雲は、美しく誇り高い武将の妻を丹念な木彫で表現。奈良時代の美しい衣装や大葉子の理知的な表情を見事に仕上げています。 -
「龗」
こちらも東京国立近代美術館に所蔵されている作品です。タイトルの「龗」は、「たかおがみ」と読みます。 日本の神話における水をつかさどる神であり、雨降らしの神として信仰されてきた歴史があります。 この作品では、山の岩肌から神がその姿をあらわしているさまが表現されています。 伝統的な技法が冴えわたる繊細な木彫ではありますが、神の表情には西洋彫刻のような趣があります。
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