竹内栖鳳(たけうちせいほう)1864年–1942年
竹内栖鳳は、明治・大正・昭和にかけて活躍した日本画家です。
人物画や動物画を得意とし、モデルを前にして絵筆を動かす写生を基本として優れた作品の数々を描きました。モデルとなった人物や動物の内面に迫る繊細な筆遣いが特徴であり、「栖鳳は動物の匂いまで描く」と称賛されたほどでした。モデルの感情があらわれた作品の数々は時代を超えて多くの人を魅了しており、現代においても高い価値を誇ります。
モデルの“匂い”まで描いた天才日本画家
1864年、竹内栖鳳は京都府京都市に生まれました。
1881年、円山・四条派の画塾に入門したところから栖鳳の画家人生はスタートしました。
写生によってモデルの正確な姿をつかみつつ、繊細な淡い筆致で描くことを旨とする円山・四条派の画風をマスターした栖鳳は、たちまちのうちに塾中で随一の俊英として知られるようになります。
さらに1880年代の半ばには京都府画学校で学び、修了後は母校で講師として働きつつ制作に取り組み、発表する作品の多くが展覧会などで好評を博しました。
以後、国際的な名声も獲得するようになります。 1893年、1900年にはそれぞれシカゴ万国博覧会、パリ万国博覧会に作品を出品。特にパリ万博では銀牌を獲得したことで名を高めました。
その後も、画家として栄華をきわめる後半生を送ります。 1909年には京都市立絵画専門学校の教授に就任。また教授職を退いた1924年にはフランスのレジオンドヌール勲章をはじめ、ドイツ、ハンガリーといった国々から数多くの名誉章を受章。1937年、日本において第1回文化勲章の受章者となりました。
竹内栖鳳の代表作
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「班猫」
タイトルは「はんびょう」と読み、まだら模様の猫を意味します。本来なら「斑」と書くべきところを「班」と書いたのは栖鳳自身で、その意思が尊重されて現在もこの字が用いられています。 モデルとなったのは、1942年に栖鳳が八百屋の店先で見つけた猫。何の変哲もない猫でしたが栖鳳は気に入り、もらい受けてモデルとしました。 やわらかな体をくねらせ、エメラルドグリーンの宝石のような瞳をじっとこちらに向けて静止している姿が描かれており、猫という動物の持つミステリアスな魅力が見事に表現されています。
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「絵になる最初」
裸婦画のモデルとなった日本髪の若い女性が脱いだ着物で前を隠し、左手の甲を口もとに当てて恥じらっている姿を描いた作品です。 栖鳳は裸婦画を描くため、モデルに服を脱ぐよう指示しました。しかし彼女が帯をとき、着物を脱いで白い裸身をあらわにしたものの、恥ずかしがって目をそらす姿に魅力を覚え、作品の主題を変更します。 彼女の戸惑いや恥じらい、そして頬を染める体温まで伝わってくるかのようなリアルな作品に仕上げました。
その他、「爐邊」「アレ夕立に」などが代表作として知られています。
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