亞明(あみん)1924年–2002年
亞明は、中国安徽省合肥出身の画家。
本名は葉家炳。初めは「敬植」と号し、のちに「亞明」と名をあらためます。
「芸術は人民、生活、伝統を師とすべきである」を信条とし、浅薄なアカデミズム(学問主義)に堕することなく、歴史と伝統に寄り添った作品を世に送り出しました。
同時期に中国で活躍していた画家・傅抱石とともに、伝統を追求しつつ深い創造性にあふれた絵画を描く「新金陵画派」の代表的な作家として活躍しています。
中国現代絵画における人物画・山水画の巨匠
1924年、のちに「亞明」と号して世界にその名を轟かせることになる男児・葉家炳が中国安徽省合肥の貧家に誕生しました。
幼い頃から絵に才能を示して10歳で絵画を学び始めますが、当時は戦争の時代。青年時代には愛国心に燃え、抗日運動に参加していたこともあったといわれています。
そんな亞明が本格的に絵画を学び始めたのは、1941年のこと。淮安芸術専門学校に入学して中国伝統の絵画技法を学び、めきめき頭角を現します。
卒業後は美術誌「崋東画報」の編集に携わり、副編集長のポストに就いて活躍します。
また同時に画家としての活動も本格的にスタートさせ、「中国美術家協会江蘇省分会」の副主席として絵画界に影響を持つ人物となります。
1960年には、若い画家たちを率いて「江蘇国画工作団」を結成し、江蘇省とその周辺の6省をめぐって写生を行いました。
こうしてさらに技術を向上させた亞明は、翌年に北京で「山河新貌展」を開催。好評を博します。
以後は精力的に作品を発表しつつ後進の指導にも尽くし、名実ともに現代中国を代表する巨匠としてその名を世界に知られるようになりました。
亞明の代表作
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「華山北峰」
28×34.1cmの画幅を圧倒する崋山北峰が黒々と描出されたこの作品は、亞明の代表作として知られています。ゴツゴツとした峻険な岩肌が目立つ雄大な巨山。その峰にしがみつくような人家が厳しい自然の中にあってけなげに生活を営んでいる……そんな場面を見事に切り取った作品に仕上げられています。
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「高山流水」
中国春秋時代の故事に由来する「高山流水」は“流麗な音楽”を意味する四字熟語ですが、亞明の作品はまさしく美しい音色が聞こえてくるような仕上がりになっています。
墨痕あざやかに少ない色で表現された滝壺と岩場は、激しく流れ落ちる滝の水で濡れています……が、岩場に腰を下ろして琴を弾く男性奏者の姿が、激しい水音を消し去っています。 滝の流れを背景に琴を奏する人物は見事に生きており、まさしく妙なる音楽が今まさに世界に満ちみちている……その一瞬を美しく切り取った逸品です。その他、亞明の業績は1963年に出版された『亞明作品選集』をはじめ、『訪蘇画輯』『三湘四水集』といった画集にも見ることができます。
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