子どもの頃、貯金箱で見つけた懐かしの銀色の100円玉。何気なく使っていたり、引き出しの中に眠っていませんか？
実は、その旧100円玉が発行された年代や状態によっては、高値で取引されることもあります。旧100円玉の価値が高い理由は、発行から年月が経過し、時代の流れとともに状態の良いものが減っているためです。
もしかしたら、あなたの手元にも、知らないだけで高額な価値を持つ旧100円玉が眠っているかもしれません。この記事では、旧100円玉の種類について詳しく解説し、古銭買取を検討している方に市場価値を紹介します。
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旧100円玉とは？
旧100円玉とは、現在流通している100円硬貨とは異なり、過去に発行された100円硬貨のことを指します。
具体的には、1957年から1958年まで発行された「鳳凰100円銀貨」と、1959年から1966年まで発行された「稲100円銀貨」の2種類が存在します。これらの硬貨が注目を集めている理由は、その希少性と歴史的価値にあります。
私たちが普段目にする100円硬貨はニッケルで作られていますが、旧100円玉は銀貨として誕生しました。
当時、高度経済成長期の波に乗り、日本の通貨としての信頼が高まっていました。その象徴として、銀含有率の高い美しいデザインの100円銀貨が発行されたのです。
しかし、その輝きを放った期間も長くはありませんでした。銀の価格高騰や、自動販売機普及による需要増加に対応するため、1967年からはニッケル製の100円硬貨が主流となっていきます。
そして現在、発行が終了した旧100円銀貨は、その希少性と歴史的価値から、コレクターや投資家の間で高い人気を誇っています。コインアルバムに眠る旧100円玉は、単なる過去の通貨ではなく、価値ある存在へと変貌を遂げているのです。
旧100円玉「鳳凰100円銀貨」｜高貴なデザインに秘められた価値とは
直径：22.6mm
量目：4.8g
品位：銀60％、銅30％、亜鉛10％
発行：1957年～1958年
旧100円銀貨の中でも、ひときわ美しい輝きを放つ「鳳凰100円銀貨」。1957年から1958年の2年間発行されたこの銀貨は、その名の通り、表面に堂々と羽を広げた鳳凰がデザインされています。
この鳳凰は、古代の神話に登場する伝説の鳥。その姿は、永遠の命、繁栄、平和を象徴するものとして、当時、復興を目指す日本の未来を託す象徴として選ばれました。
素材には、銀含有率60%という純度の高い銀が使用され、重厚感と気品漂う輝きを放ちます。鳳凰100円銀貨は、発行年によって発行枚数が異なり、その希少性によって価値が大きく変動します。
1957年（昭和32年）：3,000万枚
1958年（昭和33年）：7,000万枚
発行枚数が少なく、現存数も少ないとされる「昭和32年銘の鳳凰100円銀貨」は希少価値が高く、市場では一枚数百円から数千円の価格帯で取引されることも珍しくありません。
一方、比較的発行枚数が多い昭和33年銘であっても、状態が良好であれば高い価値も見込めます。
旧100円玉「稲100円銀貨」｜日本の豊穣を願う銀貨、その価値は？
直径：22.6mm
量目：4.8g
品位：銀60％、銅30％、亜鉛10％
発行：1959年～1966年
日本の象徴とも言える「稲穂」を堂々とあしらった「稲100円銀貨」。1959年から1966年にかけて発行されたこの銀貨は、当時の日本の農業を支える重要な産業を象徴するものでした。
表面にデザインされた、たわわに実った稲穂は、豊穣と繁栄への願いが込められています。また、裏面には分銅が描かれ、農業文化に対する当時の想いが伝わる図案です。
稲100円銀貨もまた、鳳凰100円銀貨と同様に、銀の含有率60%という高純度の銀貨です。発行年によって発行枚数が異なり、その希少性によって価値は大きく変わります。
1959年（昭和34年）：1億1000万枚
1960年（昭和35年）：5,000万枚
1961年（昭和36年）：1,500万枚
1962年（昭和37年）：発行なし
1963年（昭和38年）：4,500万枚
1964年（昭和39年）：1,000万枚
1965年（昭和40年）：6,250万枚
1966年（昭和41年）：9,750万枚
特に、発行枚数が少なくて現存数の限られる昭和39年銘と、発行初年となる昭和34年銘の稲100円銀貨は、他の年銘よりも若干価値も高くなっています。
全体の市場価値としては、一枚数百円程度、完全未使用で数千円の価値が見込めます。
その他の100円玉
古銭における「旧100円玉」と呼ばれるものとは少し異なりますが、前述の「鳳凰100円銀貨」や「稲100円銀貨」の他にも記念貨幣として発行された100円硬貨もあります。
ここでは、価値のある代表的な100円硬貨をいくつか紹介します。
東京オリンピック記念100円銀貨
1964年の東京オリンピック開催を記念して発行された「東京オリンピック記念100円銀貨」。
日本にとって戦後復興の象徴となったこの一大イベントを記念する銀貨は、発行当時から非常に人気が高く、コレクターの間でも特別な存在として扱われています。
表面には聖火台と五輪マークが描かれ、裏面には「TOKYO 1964」の文字が刻まれています。発行枚数は8,000万枚、状態が良いものであれば数百円から数千円の市場価値が付くこともあります。
日本万博博覧会記念100円白銅貨
1970年に開催された、アジア初の万国博覧会「日本万国博覧会（大阪万博）」を記念して発行されたのが「日本万国博覧会記念100円白銅貨」です。
未来都市をテーマに、世界中から注目を集めた大阪万博。その熱気を今に伝えるこの記念硬貨は、表面に日本の象徴である「赤富士」が、裏面には万博のロゴマークがデザインされています。
発行枚数は4,000万枚。未使用に近い状態のものや輝きが保たれているものなど、状態も良ければ数百円の価値が見込まれます。
札幌冬季オリンピック記念100円白銅貨
アジア初の冬季オリンピックとして、1972年に札幌で開催された「札幌冬季オリンピック」を記念して発行されたのが「札幌冬季オリンピック記念100円白銅貨」です。
オリンピックの象徴である「聖火」のデザインが特徴で、裏面にはオリンピックのマークや雪の結晶が描かれています。
状態が良いものや、未使用に近いものなどは、数百円の価値が見込まれます。
沖縄海洋博覧会記念100円白銅貨
1975年に沖縄で開催された、海洋をテーマにした国際博覧会「沖縄国際海洋博覧会」を記念して発行されたのが「沖縄海洋博覧会記念100円白銅貨」です。
沖縄復帰後初の国際的なイベントとして、大きな注目を集めた沖縄海洋博。その記念として発行されたこの硬貨は、表面に沖縄の「守礼門」、裏面には博覧会のシンボルマークが描かれています。
発行枚数も多いため希少性が高い硬貨の部類には入らないものの、完全未使用品や未使用品であれば、数百円の市場価値が見込まれます。
昭和天皇御即位50年記念100円白銅貨
1976年、昭和天皇の在位50年を記念して発行されたのが「昭和天皇御即位50年記念100円白銅貨」です。
皇居と菊の御紋がデザインされたこの記念硬貨は、激動の昭和という時代を象徴するものとして、発行当時から多くの人々に大切に保管されてきました。
コレクターの間では根強い人気があり、未使用に近い状態のものや、輝きが保たれているものは、数百円での市場価格帯で取引されています。
番外：桜100円白銅貨
鳳凰100円銀貨や稲100円銀貨の発行を経て、1967年以降から執筆現在まで一般流通している100円硬貨が「桜100円白銅貨」です。
こちらは現在でも発行されているデザインの100円硬貨のため、古銭買取業者では基本的に買取不可となっているケースがほとんどです。
旧100円玉の価値を決める3つのポイント
旧100円玉の価値は、発行年やデザインだけで決まるわけではありません。同じ種類の旧100円玉でも、その価値は変動します。価値を左右する主なポイントは以下の3つです。
1. 発行枚数の少なさ
基本的には、発行枚数が少ないほど希少価値も高まります。鳳凰100円銀貨なら昭和32年銘、稲100円銀貨なら昭和39年銘が、発行枚数が少なく高額で取引される傾向があります。
また、まれに発生する「エラーコイン」は、その希少性から非常に高値で取引されることがあります。「エラーコインかもしれない」と思ったら、専門業者に見てもらいましょう。
2. 保存状態の良さ
傷や汚れが少ないほど価値は高くなります。未使用品はもちろん、使用されたものでも、輝きが保たれているものは高値が期待できるでしょう。反対に、変色していたり、大きな傷がある場合は、価値が下がる可能性もあります。
3. ニーズの高まり
コレクターや投資家の間で人気が高まると、旧100円玉の市場価値は上昇します。経済状況やトレンドによって変動するため、常に最新の情報を確認することが大切です。
これらの要素が複雑に絡み合って、旧100円玉の価値は決まります。
おわりに
旧100円玉の価値は、専門家でなければ正確に判断することは難しいものです。もしかしたら、あなたの手元にある旧100円玉が、思わぬ高値で取引される可能性も秘めているかもしれません。
旧100円玉には、発行された時代背景、デザイン、そして希少性から、コレクター心をくすぐる魅力が詰まっています。
鳳凰100円銀貨、稲100円銀貨、どちらも希少価値が高く、発行年や状態によっては高値で取引されることも多くあります。
もし、ご自宅に眠っている旧100円玉があれば、その価値を見逃してしまう前に、ぜひ一度、専門家による査定をおすすめします。
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