1958年から1986年にかけて発行された、「聖徳太子が絵柄の一万円札」。
福沢諭吉の一万円札の前に使われていた旧紙幣で、遺品整理や引っ越しなどの際に出てくることも珍しくはない紙幣です。
今回の日晃堂コラムでは、そんな「聖徳太子の一万円札の価値」に関してご紹介します。聖徳太子の一万円札が古銭買取で高く売れるかどうか、気になる方はぜひ最後までご覧ください。
聖徳太子の一万円札とは
日本人ならほとんどの人が知っていると言っても過言ではない、日本の歴史上における最大級の偉人、「聖徳太子」。
「一度に10人の話を同時に聞き分ける」という、超人的なエピソードは今も語り継がれるほど有名ですね。旧一万円紙幣の肖像としても知られていますが、今でも「聖徳太子の一万円札」を持っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
今回はそんな聖徳太子の一万円札が、古銭として買取価値があるのかどうか、詳しくご紹介いたします。
聖徳太子の一万円札の概要
聖徳太子が絵柄に描かれた一万円札は、1958年(昭和33年)12月1日から 1986年(昭和61年)1月4日にかけて発行された、「日本初の一万円紙幣」です。表面に聖徳太子の肖像が、裏面には鳳凰が描かれています。
当時の大卒初任給が1万3000円程度だったこともあり、商売などで必要となる釣銭への対応が問題提起されたり、このような高額紙幣を発行する意味について議論されたりしましたが、日本の高度経済成長と共に流通量が増えて定着しました。
これまでに発行された一万円紙幣は全部で3種類ありますが、聖徳太子の一万円札は「日本銀行券C号」に分類されます。聖徳太子の後に発行された福沢諭吉の一万円紙幣は、「日本銀行券D号」「日本銀行券E号」に分類され、現在流通しているものは”偽造防止技術”が新たに採用されたE号券となります。
聖徳太子の一万円札は使える
福沢諭吉の一万円札(日本銀行券E号)に切り替わった現代では、聖徳太子の一万円札は旧紙幣の扱いとなりますが、今でも一万円札として使用することは可能です。
「なぜ今でも聖徳太子の一万円札が使えるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、なぜなら、「一度発行された銀行券は、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失うことはありません」と法令に基づいて定義されているからです。例えば、2018年9月に聖徳太子一万円札のニセ札が23枚も飲食店で使われてしまうという事件が起きましたが、これは今でも聖徳太子の一万円札が使えるからこそ発生した事件とも言えます。
現在発行されている紙幣はホログラムを始め、いくつもの偽造防止技術が注ぎ込まれていますが、聖徳太子の一万円札などは今の技術と比べると対策が十分とはいえないため、偽造の対象になりやすい紙幣でもあります。また、今でも一万円紙幣として使えるとはいえ、お店などで使おうとすると見慣れないデザインということもあり、偽造を疑われる場面もあるかもしれません。このような状況を不便に感じられるのであれば、銀行で現在の一万円札と交換することも可能です(一部、対応していない銀行もあります)。
「聖徳太子の一万円札」に価値はある?
先に結論から述べると、聖徳太子の一万円札の買取価格は基本的に「額面通り」です。 古紙幣とはいえ、1986年1月まで発行と比較的新しい紙幣であることと、流通量が多いため希少価値はそれほどありません。しかし、中にはプレミア価値のある聖徳太子一万円も少なからず存在します。
以下よりエラープリント、ミスプリント、希少な記番号など、希少価値の高い聖徳太子一万円札についてご紹介します。「聖徳太子の一万円札が欲しい」と思わせるような、プレミアがあるかどうかがポイントですね。
福耳エラー(エラー紙幣)
福耳エラーとは、大きな紙に印刷された紙幣を裁断して形を整える際、裁断ミスで紙幣の四隅のどこかに紙の切れ端が付いているエラー紙幣のことです。厳しいチェック体制が整った現在では、福耳エラーの紙幣が流通することは極めて稀なケースで、古紙幣においても稀に見る程度ですね。 紙幣の状態や福耳の大きさによって買取価格は變動しますが、もし福耳エラーの聖徳太子一万円札が見つかれば、かなり希少と言えます。
エラー紙幣といえば他にも、印刷の位置がずれていたり、裏に印刷されるはずのデザインが表に印刷されてしまったり(裏写り)、インクが滲んでしまっているなどの印刷ミスが挙げられ、これらのエラー紙幣はコレクターにも人気があります。
印鑑漏れ(エラー紙幣)
聖徳太子の一万円札は、他にも価値の高いエラー紙幣が存在します。どの紙幣にも言えることではありますが、金銭的価値を証明するために、紙幣にははんこが印刷されています。あまりじっくりと見たことはないかもしれませんが、紙幣の表には日本銀行総裁を示す「総裁之印」が、裏には日本銀行発券局局長を示す「発券局長」がなつ印された印影が、それぞれ印刷されているのが特徴です。
ところが過去に、この印鑑(総裁之印)が漏れている、聖徳太子一万円札のエラー紙幣が見つかりました。さらに、紙幣の記番号と印鑑が両方ともない、聖徳太子一万円札のエラー紙幣も見つかり、市場では数十万円もの高額で取引されました。これほど極めて珍しい価値の高いエラー紙幣はそうそう見つかりませんが、もし発見されるようなことがあれば、かなり高額な査定になることは間違いないでしょう。
記番号でプレミアが付く
記番号とは、個々を区別するために用いられる、アルファベットと数字が組み合わされた「紙幣の番号」のことです。紙幣の背番号のような役割を果たし、すべてのお札には違う記番号が印刷されています。そんな記番号には、珍しい数字やアルファベットの組み合わせがあり、中にはプレミアが付いているものがあります。
具体的には、以下の通りです。
ゾロ目の番号
聖徳太子の一万円札以外にも当てはまることですが、ゾロ目のような珍しい番号は希少価値が上がります。
例えば、聖徳太子一万円札の記番号が”111111”や”222222”などのゾロ目の場合は希少ですね。他に通称「ラッキーセブン」と呼ばれる、”777777″のゾロ目は特に高い人気があります。紙幣の状態などによって価値は変わりますが、他のゾロ目に比べると高く売れやすい番号です。
珍番
記番号がゾロ目の他には、数字が1番の”000001″、”100000″や”300000″のようにキリのよい番号(キリ番)、”123456″のような階段状の番号も希少性があり、「価値の高い」聖徳太子一万円札として知られています。珍番だけでなく、どの記番号に対しても共通していますが、”数字がきれいに並んでいること”がプレミア紙幣の条件のひとつになりますね。
A-A券(トップ番号)とZZ-Z券(ラスト番号)
記番号はゾロ目や珍番以外に、「アルファベットの組合わせ」でも価値が生じる場合もあります。例えば、Aで始まりAで終わる(A○○○○○○A)などの記番号は、「開始記番号(トップ番号)」と呼ばれ”A-A券”と表することもあります。反対にZZから始まりZで終わる記番号は、通称「ラスト番号」と呼ばれ”ZZ-Z”券と表するケースもあります。いずれも、通常の聖徳太子一万円札より価値は高くなります。
特に紙幣の「ZZ900000Z」が付いた記番号は、”最後の番号を意味”するため、各紙幣1枚しか存在せず、市場にはなかなか出回らない逸品です(記番号に”900001~999999″は存在しません)。
サンドイッチ番号
聖徳太子一万円札には、「サンドイッチ番号」と呼ばれる記番号も存在します。例えば「100001」や「800008」など、始めと終わりの数字が同じで、間の数字がサンドイッチのように挟まれている記番号のことをサンドイッチ番号と呼んでいます。通常の聖徳太子一万円札よりもプレミア価値が高く、コレクターの方にも人気があります。
まとめ
今回の日晃堂コラムでは、「聖徳太子の一万円札の買取価値」に関してご紹介いたしました。聖徳太子の一万円札は古紙幣とはいえ、比較的近年まで多く発行されていたため、目立つようなプレミア価値は付いていません。多くの聖徳太子一万円札は「額面通りの価値」となりますが、一部の記番号やエラー紙幣には額面以上の価値が付いており、高価買取が望める紙幣もございます。
日晃堂では古銭買取も行っておりますので、聖徳太子一万円札の買取に関してもご相談が可能です。額面通りの価値となる聖徳太子一万円札に関しては、現行紙幣の一万円札と同じようにお店などでもお使いいただけますので(ATMは利用不可)、買取をお断りさせていただく場合がございます。しかし、価値の高い聖徳太子一万円札については、バリューに見合った買取価格をしっかりとお付けいたします。
聖徳太子の一万円札をはじめ、「売りたい」とお考えの古銭があれば、ぜひ日晃堂まで問い合わせください。古紙幣以外にも、穴銭、小判、古金銀、外国古銭など、専門知識が豊富な査定員が、お持ちの古銭を大切に査定させていただきます。
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