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もともと芸術に興味を持っていたことから、東京高等工業学校(現在の東京工業大学)窯業科に入学。陶芸家・板谷波山の指導を受けつつ、陶芸を学んでいきます。 そして1920年、京都・五条坂を拠点にして自身の作品制作を開始。本格的に陶芸家としての道を歩み始めました。

しかしその翌年、寛次郎はさっそく大きな壁に直面することになります。 東京および大阪の高島屋で開催された創作陶磁展覧会に出品した寛次郎は、その華やかで技巧的な作品が高く評価され、一躍注目を集めました。 一方で本人自身は納得しておらず、自身の作品に疑念を感じ始めます。 そんな中、朝鮮民族美術展で無名の陶工が手掛けた作品に感銘を受け、「自分の作品は見かけ倒しであり、中身がない」として制作から離れてしまいます。 このような出来事に加えて、1924年、イギリスから帰国した陶芸家・濱田庄司からスリップウェア(古い時代の陶磁器・雑器)を見せられたことをきっかけに、実用的な陶器の制作にシフトするようになりました。
こうして、華やかさを重視していた作風から一転、簡素でありながら実用性に富んだ作品を重要視するようになった寛次郎は、もともとの高い技術力を活かし、日用品として優れてた作品を数多く制作。1937年には、『鉄辰砂草花図壺』がパリ万国博覧会でグランプリを受賞します。 戦後は版画や詩などの制作にも着手し、活躍の幅を拡大。没年まで創作意欲を絶やすことなく、芸術家としての人生を全うしました。