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月岡は1864年、1871年の2度にわたって山梨県を訪れています。 1864年はまだ年章が生まれて間もないことから、「1871年の来訪時に芳年が年章と出会い、門下に招いた」もしくは「年章が地元絵師から東京で活動する芳年を紹介された」という説が唱えられています。

1885年から一時的に芳年の自宅で過ごした年章は、その後、結婚して独立。10年あまり、東京で浮世絵師の活動をしつつ生活を過ごします。
この間、初作である『春山練兵所観兵式御幸之図』をはじめ、20～30点ほどの錦絵を製作。そのほとんどが戦争画ですが、その一方で『義経再興記』をはじめとする武者絵、『日本撰景』に代表される風俗画なども描いています。 1898年からは郷土に戻り、県内を巡り歩きながら肉筆浮世絵の製作に力を注ぎました。 錦絵から肉筆浮世絵に移行した経緯についても明らかになっていませんが、日清戦争を境に浮世絵の文化が衰退し、それにともなって浮世絵師を引退したためではないかと考えられています。 特に人物画を得意としており、没年まで数々の名作を県に残した中澤年章。日露戦争後、印刷技術が発達していくことでさらに浮世絵が衰退していくなか、“最後の浮世絵師”の1人として活動を続けたものの、1921年、東京を訪問中にこの世を去りました(没年についても諸説あります)。